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ISO9001内部監査の仕方(第11回)

平林良人「ISO9001内部監査の仕方」アーカイブ 第11回

これは1994年に日科技連出版社から出版されたものです。以下は本書の趣旨です。
「第三者である審査登録機関が,6カ月おきに,審査登録した会社(組織)に対して立入調査をするのが代表的なフォローアップの仕組みであり,サーベイランスと呼称されている。審査登録を済ませた会社は,この仕組みによって半ば強制的に,確立した品質システムを見直しさせられる。しかし,外部からの圧力によって品質システムの見直しを実施するというのは,ISO 9000/JIS Z 9900シリーズ規格の本来の考え方ではない。ISO 9001 / JIS Z 9901規格の条項中に次の規定要求事項がある。
『「4.1.3 マネジメント・レビュー(経営者による見直し):執行責任をもつ供給側の経営者は,この規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために,品質システムが引き続き適切,かつ,効果的に運営されることを確実にするのに十分な,あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行うこと。この見直しの記録は,保管すること。』
このことを経営者は肝に銘じて内部監査を自分の代行として行うことを組織内に徹底することが肝要である。」



付録
内部品質監査チェックリスト例

付録1 内部監査チェックリストA

内部品質監査を実施する場合のチェックリストにはいくつかのタイプがあるが,まず内部品質監査を実施する対象をはっきりさせなければならない。
ここでチェックリストAと呼ぶ対象は,第2次,第3次文書である全社共通の標準書,基準書,部門マニュアルであり,これらに対しての内部品質監査を実施する場合のチェックリストをチェックリストAと呼んでいる。
これに対して,品質マニュアルが対象にしているISO 9000 シリーズ規格に対しての内部品質監査チェックリストを,チェックリストBと呼んでいる。
チェックリストAが対象としているものは,したがって社内の標準書,基準書であり,日々の実践的な事項を監査するため,チェックリストBに比較して詳細な事柄をリストアップしている。
ここでは次の標準書に対してのチェックリストを掲載する。
〔企画室〕
市場調査標準
〔総務部〕
文書管理標準   業務改善提案制度標準
〔人事部〕
組織標準    教育・訓練標準
〔開発部〕
開発計測器管理標準
〔生産管理部〕
契約管理標準    注文書管理標準   OEM 客先支給品管理標準
製品取扱標準    製品保管標準    サービス・パーツ管理標準
〔購買部〕
購買要求書発行標準   外注契約書標準  取引先管理標準   取引先評価標準
購入製品特別採用処理標準 
〔設計部〕
仕様制定標準  設計業務標準  製品企画標準  設計試作標準
設計審査標準  設計計画標準  試作評価標準  設計通知管理標準
〔技術部〕
量産試作標準    量産認定標準   製品・部品コード管理標準
加工図面管理標準  機械設備管理標準  計測器類選定標準  製品・部品包装標準
〔品質保証部〕
品質マニュアル標準  品質システム見直し標準  品質記録管理標準
品質標準制定標準  部品受入検査標準  工程内検査標準
製品出荷検査標準  外注品質監査標準  検査規程制定標準
QC工程表標準  統計的手法活用標準  ロット管理標準
製品監査標準  計測器類管理標準  計測器類校正標準
製品識別管理標準  製品特別採用処理標準  市場クレーム処理標準
重要品質問題処理標準  内部品質監査標準  サービス標準
QCサークル活動推進標準  品質計画標準

〔製造部〕
工程品質管理標準  作業指示書制定標準  機械設備日常点検標準
工程異常処理標準  4M変動管理標準
なお上の標準書は,拙著『ISO9000品質マニュアルの作り方』の第4章“標準的品質マニュアル”に掲載した標準に対応しており,同時にご参照いただければ幸いである。
また,本表中“監査結果”の欄には,読者の理解の便を考え,各チェック項目について特に留意していただきたい項目に筆者のコメントを小さくカラーで記入した。
本来は“監査結果”の欄は,監査記録を簡単に記入しておくために空白にしておくスペースであることは改めて言うまでもない。“監査員”“立合人”等の欄も同様である。
この付録1「内部品質監査チェックリストA」には前述のように60種類のチェックリストの例が掲載されているが,この会社のバックグラウンドと組織,チェックリストの一覧表を表1 会社のバックグラウンド,表2 会社の組織,表3 チェックリストの一覧(JIS Z9901との相関)として以下に掲げるので,個々のチェックリストの例を見る際の参考としていただきたい。

表1 会社のバックグラウンド
会社の歴史,現況,その他バックグラウンド
Ⅹ社は,昭和21年に現在のA社のB製品工場として分離独立した。
B製品の生産を続けるかたわらC製品,D製品を独立に開発した結果,その技術の独創性のゆえに市場で飛躍的な発展を遂げ,現在は国内で10事業所,海外に2工場,国内外に30営業拠点を持つまでに至った。
当社の理念は次の通りである。
  1.社会に貢献する。
  2.社員を大切にする。
  3.独創性を伸ばす。

 表2 会社の組織(略)