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ISO9001内部監査の仕方(第12回)

平林良人「ISO9001内部監査の仕方」アーカイブ 第12回

これは1994年に日科技連出版社から出版されたものです。以下は本書の趣旨です。
「第三者である審査登録機関が,6カ月おきに,審査登録した会社(組織)に対して立入調査をするのが代表的なフォローアップの仕組みであり,サーベイランスと呼称されている。審査登録を済ませた会社は,この仕組みによって半ば強制的に,確立した品質システムを見直しさせられる。しかし,外部からの圧力によって品質システムの見直しを実施するというのは,ISO 9000/JIS Z 9900シリーズ規格の本来の考え方ではない。ISO 9001 / JIS Z 9901規格の条項中に次の規定要求事項がある。
『「4.1.3 マネジメント・レビュー(経営者による見直し):執行責任をもつ供給側の経営者は,この規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために,品質システムが引き続き適切,かつ,効果的に運営されることを確実にするのに十分な,あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行うこと。この見直しの記録は,保管すること。』
このことを経営者は肝に銘じて内部監査を自分の代行として行うことを組織内に徹底することが肝要である。」



標準書名 :取引先評価標準
被監査部門:購買部
チェック項目
No.1 新規に採用認定するときには「新規調達先評価表/結果」により総合的な評価を行っているか。
No.2 新規に活用を計画する場合,事業部の期待水準の調査を十分に行っているか。
No.3 評価不能項目について,状況確認により代替評価を行っているか。
No.4 評価にあたっては,主管部門や技術・品質保証・製造各部門など,他部門のメンバーにも参加を要請しているか。
No.5 「新規調達先評価表/結果」は,主管部門で3年間,保管しているか。
No.6 採用認定後,「取引先登録台帳」への追加は行われているか。
No.7 取引先との契約関係の折衝後,「契約等処理表」により法務部門へ通知しているか。
No.8 審査は主管部門および技術・品質保証部門の長が行っているか。
No.9 合格しない業者との調達を開始する場合,関係部門と協議し,合意を得ているか。
No.10 9の場合,主管部門長の確認を得て調達を開始しているか。
No.11 「取引先登録台帳管理基準」に基づき,台帳作成,維持,管理がなされているか。

標準書名 :購入製品特別採用処理標準
被監査部門:購買部
チェック項目
No.1 特採(特別採用)の申請は,定められた用紙を使い,購買部門担当課長に申請されているか。
No.2 特採の申請は,申請部門の品質責任者が行っているか。
No.3 特採の申請が,定められた部門以外からなされていないか。
No.4 特採となったときの,品質に対する影響の許容範囲は守られているか。
No.5 特採可否決定の検討・審査は,定められたメンバー全員で行われているか。
No.6 特採可否決定の検討・審査の結果の記録は残されているか。
No.7 特採可否の決裁は,特裁可否決定の検討・審査の資料に基づき技術部門長が行っているか。
No.8 技術部門は,特採可否決定の決裁結果を技術通知として発行しているか。また,それを受け取った記録は残っているか。
購買部門はメーカーに通知して,それが記録として残されているか。
No.9 必要な場合,生産実験,耐久試験を実施し,その記録が残されているか。
No.10 技術部門は,特別採用申請書兼通知書を3年間,保存しているか。また,その保存状態はどうか。
No.11 特採が承認された部品には,特別採用申請書兼通知書が添付され,納入されているか。
No.12 特採が承認されなかった部品の処置は,基準通り実施されているか,その記録はあるか。
No.13 技術部門は,特採品の管理指示を技術通知により製造部門に出しているか。製造部門には受け取った記録が残っているか。

標準書名 :仕様制定標準
被監査部門:設計部
チェック項目
No.1 仕様書は,商品企画書,各種図面,設計試作評価結果,設計審査,会議結果に基づいて作成されているか。
No.2 仕様書は担当部門の上司によって承認されているか。
No.3 仕様書は,設計通知によって制定・配布されているか。
No.4 制定・配布された仕様書には発行印が押されているか。
No.5 仕様書の配布先は「発行文書管理一覧表」に従っているか。
No.6 仕様書の種類と制定時期は,商品化推進大日程にそっているか。
No.7 仕様書の改訂時,修正ページおよびレビジョンシートに改訂内容が記入されているか。
No.8 仕様書の修正時,担当部門の上司が確認しているか。
No.9 仕様書の変更通知は,設計通知によって行われているか。
No.10 制定後の仕様書変更は,設計通知管理標準(KDR108)に基づいて行われているか。
No.11 仕様書変更時,旧仕様書は回収されているか。
No.12 仕様書の原本は,設計部門に,生産中止後5年間,保管されているか

標準書名 :設計業務標準
被監査部門:設計部
チェック項目
No.1 設計業務(設計作業,試作評価など)の推進は,制定された商品化推進大日程によって行われているか。
No.2 設計業務は,その難易度に応じ,適切な能力を持った者に割り振られているか。
No.3 「商品説明会議」や「図面検討会」で,製品仕様および設計業務推進に関する情報交換を行っているか。
No.4 「設計認定会議」でQ,C,Dの各目標の明確化および問題点の情報交換を行っているか。
No.5 3,4項以外に,必要に応じて,関係部門で会議を開き,製品設計に必要な情報交換を行っているか。
No.6 設計業務へのインプットは商品企画書を用いているか。
No.7 設計業務からのアウトプット(仕様書/設計図面)は,基準に従い制定されているか。
No.8 設計確認は,設計試作品を製造・評価し,設計認定を受けることによって行われているか。
No.9 設計変更が生じた場合は,次の各基準に従っているか。
   ①仕様制定標準(KDR 101)。
No.10 製品の安全性は,品質保証部門が定めた製品安全性に関する規格に基づき評価し,設計審査の各ステップで課題を明確にしているか。

標準書名 :製品企画標準
被監査部門:設計部
チェック項目
No.1 製品企画書は,商品化決定会議で決定されたすべての商品について作成されてるか。
No.2 製品企画書は,上司または上司より選任された者が作成し,起案印は上司が押しているか。
No.3 製品企画書は,専用用紙を基本に必要事項がすべて記載されているか。
No.4 製品企画書の番号は定められた通りに登録されているか。
No.5 製品企画書には,設計部門長の承認印,事業企画部門長の合議印,事業部長の決裁印が押印されているか。
No.6 製品企画書は,定められたメンバーの設計通知で制定され,発行時に,発行朱印と㊙朱印が押されているか。
No.7 製品企画書の配布先は,発行文書一覧表で定められているか。
No.8 配布先での製品企画書は,㊙・コピー禁止扱いで,管理責任者ならびに保管場所が定められているか。
No.9 製品企画の中止は,設計通知により通知され,旧企画書は回収され,廃却されているか。
No.10 中止された製品企画の製品企画書の原本には,朱書きで中止を明示してあるか。
No.11 製品企画書に大変更が生じた場合,新たに企画書を作成し,部門長会議で承認,合議がなされ,制定されているか。
No.12 製品企画書の大変更の結果,新たに作成された企画書には,改訂履歴が記入されているか。
No.13 製品企画書に小変更が生じた場合,企画書原本に修正が加えられ,その部分に企画部門長の承認印が押され,改訂履歴が記入されているか。
No.14 製品企画書の小変更で修正された企画書は,設計通知で通知され,配布先の旧版は回収,廃却されているか。
No.15 製品企画書の原本および設計通知の保管責任者は設計部門長であり,専用書棚で量産認定より3年間,保管されているか。

標準書名 :設計施策標準
被監査部門:設計部
チェック項目
No.1 設計試作品は,設計部門において定められた管理台帳を用いて管理されているか。
No.2 管理台帳には,管理単位名,管理番号,管理発生日,使用/保管場所,廃却予定
日,管理担当者名が記入されているか。
No.3 設計試作品の廃却にあたっては,設計部門の上司または試作品評価リーダーが確認し,管理台帳に押印しているか。
No.4 やむを得ず保管をする場合,管理台帳に廃却予定日を記入し,設計部門の上司が許可印を押印しているか。
No.5 試作品管理台帳は,試作品廃却後3年間,保管されているか。
No.6 設計試作品にはラベルを貼って,試作品であることを外観確認できるようにしてあるか。
No.7 ラベルに,試作品区分,設計部門名,管理担当者名,管理単位名,管理番号が明示されているか。
No.8 ラベルの表示内容と管理台帳の記載事項は合致しているか。
No.9 使用部門,使用者が設計部門と異なる場合でも,設計部門が回収,廃却まで確実に行っているか。
No.10 設計部門は,試作品を評価終了後1カ月以内に廃却し,管理台帳に記録しているか。
No.11 試作品を評価終了後,やむを得ず保管する場合は,設計部門の上司の許可・承認を得ているか。

標準書名 :設計審査標準
被監査部門:設計部
チェック項目
No.1 設計審査(DR)を実施する場合は,当該新製品の企画書で指定される,DRランク(A~D)に基づいたDRの種類を実施しているか。
No.2 DRの構成メンバーは,品質保証体系で定める範囲を最大構成として,DRの開催のつど,テーマごとにDRの主催者が決めているか。
No.3 DRの主催者側は,DR開催日の最低3日前までに,当該設計課長が確認したデータパッケージを添付した「DR開催通知」
No.4 関係部門は,原則としてそのDRを事前に検討し,「DR指摘表」を作成して会議に臨んでいるか。
No.5 開催通知を受け取った関係部署から選ばれる審査者は,上司または上司から委嘱された者であるか。
No.6 会議は,主催者側の議事進行で進めているか。
No.7 設計側は,DRをもとに説明し,質問などを受け付けながら審議を進めているか。
No.8 設計責任による品質問題の再発を防止する仕組みづくりのために,再発防止会議の開催日時と主催者を決定しているか。
No.9 主催者は,会議メモをとるとともに,会議出席者の名前および所属を把握する「DR会議出席者配置図」を回覧し,回収しているか。
No.10 審査終了後,審査の公正を期するため,主催者側は主催者側以外の審査者のなかから主任審査官を公選で選んでいるか。
No.11 主任審査官は,各DRごとに用意されている「DRチェックリスト」に従って各チェックポイントごとに審査者の判断を尋ね,結果(○,△,×,-)を判定欄に記入し,審査者より指摘要求事項があればコメント欄に記入しているか。
No.12 主任審査官は,出席者全員に総合判定結果(認可または条件付認可または非認可)を告示するとともに,結果を総合判定欄に記入しているか。
No.13 非認可の場合,再度同じDRを実施しているか。
No.14 主催者側は「DR議事録」に従って2日以内にDR議事録を作成しているか。
No.15 主催者側は,議事録に添付するチェックリストの確認を主任審査官によって受けているか。
No.16 DRの議事録は,次に従って議事録確認→議事録承認を経た後,主催者側より発行されているか。
    DRの種類    議事録確        認議事録承認
    DR1       主催部門課長      設計担当部長
    DR2       主催部門課長      設計担当部長
    DR3       設計担当部長および   技術担当部長
             主催部門課長
No.17 全関係部門は,有効となった議事録のなかの自部門に該当する検討事項を実施しているか。
No.18 DR1において条件付きで認可された場合,その条件に即した内容の作業を実施することを前提として,次の作業ステップに進んでいるか。
No.19 DR1の審査の結果,非認可となった場合,DR1を再度実施しているか。
No.20 DR2は,原則として各設計業務推進単位がまとまって一括で実施されているか。
No.21 DR2の図面検討によって条件付で認可された場合,主催者はその条件を図面に反映させることを前提に次の作業ステップに進んでいるか。
No.22 DR2において認可が得られなかった場合,主催者側は問題事項が解決した時点で再度DR2を実施しているか。
No.23 DR3は,原則として各設計業務推進単位がまとまって一括で審査を受けているか。
No.24 DR3は,原則として実機で検討を行っているか。
No.25 DR3において条件付認可となった場合,設計は指定された期日までにその条件項目を解決し,技術担当部門に報告しているか。
No.26 DR3において認可が得られなかった場合,主催者側は問題事項が解決した時点で再度DR3を実施しているか。
No.27 技術担当部門は,量産認定会議において,DR3の議事録およびDR3懸案事項回答書をもとに,DR3の懸案事項をフォローしているか。
No.28 配布されるDR資料の表紙に社外秘印を押印しているか。
No.29 DR資料発行後でDR実施前に改訂する場合は,DR開催時の改訂資料配布時に行い,回収後速やかに主催者が廃棄しているか。
No.30 DRの主催者側は,議事録発行後2日以内に,設計部門が定める保管方法に従って共通書庫に原本を保管,登録しているか。
No.31 DR議事録およびDR開催通知の写しの保管方法につき,配布先は定められているか。
No.32 DR議事録およびDR開催通知の原本の保管期間を5年としているか。