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ISO9001内部監査の仕方(第15回)

平林良人「ISO9001内部監査の仕方」アーカイブ 第15回

これは1994年に日科技連出版社から出版されたものです。以下は本書の趣旨です。
「第三者である審査登録機関が,6カ月おきに,審査登録した会社(組織)に対して立入調査をするのが代表的なフォローアップの仕組みであり,サーベイランスと呼称されている。審査登録を済ませた会社は,この仕組みによって半ば強制的に,確立した品質システムを見直しさせられる。しかし,外部からの圧力によって品質システムの見直しを実施するというのは,ISO 9000/JIS Z 9900シリーズ規格の本来の考え方ではない。ISO 9001 / JIS Z 9901規格の条項中に次の規定要求事項がある。
『「4.1.3 マネジメント・レビュー(経営者による見直し):執行責任をもつ供給側の経営者は,この規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために,品質システムが引き続き適切,かつ,効果的に運営されることを確実にするのに十分な,あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行うこと。この見直しの記録は,保管すること。』
このことを経営者は肝に銘じて内部監査を自分の代行として行うことを組織内に徹底することが肝要である。」


標準書名 : ロット管理標準
被監査部門: 品質保証部門
チェック項目
No.1 1日の製造上り(梱包上り)を1ロットとして構成しているか。
No.2 製品のロット管理はシリアルナンバー一覧表で管理しているか。
No.3 製造部門では,シリアルナンバー一覧表に製造年月日,機種,ライン名,製造会社,日付,シリアルナンバー,台数を記入しているか。
No.4 製造部門の品質保証責任者は,毎月のシリアルナンバー一覧表を確認し,確認欄に押印しているか。
No.5 製造部門では,製品に組み込む部品,ユニットの管理にあたって,製品1台ごとに発行する工程票を使用しているか。
No.6 工程票は,基準のものを基本としているか。
No.7 製造工程内にて,部品,ユニットの不良が発生し,良品と交換した場合は,シリアルナンバーなどを書き換えているか。
No.8 製造部門では,毎月のシリアルナンバー一覧表の原本を,翌月の10日までに,品質保証部門に送付しているか。
No.9 品質保証部門では,製造部門より送付されたシリアルナンバー一覧表の原本を機種別,月別に識別し,保管場所,管理責任者を明確にしているか。
No.10 シリアルナンバー一覧表の原本は,品質保証部門が保管場所,管理責任者を明確にして,3年間,保管しているか。
No.11 製造部門では,工程票を機種別,年月別に識別し,保管場所,管理責任者を明確にしているか。
No.12 工程票の原本は,製造部門が1年間,保管しているか。

標準書名 : 製品監査標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 品質保証部は製品ごとに年2回,製品監査を実施しているか。
No.2 製品監査の結果は記録にとられ,上司の確認を得て,決められた配布先に配布されているか。
No.3 製品監査の記録は品質保証部に5年間保管されているか。
No.4 製品監査の結果(記録)は経営者による見直しの材料の1つとし活用されているか。
No.5 製品監査を実施する人の教育・訓練は記述されている通り実施されているか。
No.6 製品監査のチェックリストは最新のものになっているか。改訂した場合は上司が確認しているか。

標準書名 : 計測器類管理標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 計測器管理部門は,計測器管理責任者,計測器管理担当者を定めているか。
No.2 計測器管理部門において定められた計測器管理責任者,計測器管理担当者の名簿は,品質保証部門が「計測器管理者名簿」に登録し,管理しているか。
No.3 品質保証部門は計測器台帳管理および全体の員数管理を行っているか。
No.4 品質保証部門は定期校正の計画・推進,校正成績書,トレーサビリティ証明書類の保管管理を行っているか。
No.5 品質保証部門は計測器異常処理表の確認,保管をしているか。
No.6 品質保証部門は計測器管理担当者教育を行っているか。
No.7 計測器管理台帳は各管理部門の計測器の所管,員数,校正対象,有効期限などの管理に活用しているか。
No.8 計測器はすべて登録されているか。
No.9 新たに計測器を入手した場合,計測器管理責任者は速やかに品質保証部門へ計測器の登録申請を行い,品質保証部門において登録処理を行っているか。
No.10 計測器の廃却,他事業所へ移管または借用計測器の返却などを行う場合,計測管理部門は品質保証部門へ計測器の管理抹消届を提出し,品質保証部門において管理抹消処理を行っているか。
No.11 計測器管理台帳は品質保証部門が管理し,台帳の原本を品質保証部門が保管し,各計測器管理部門へ,その写しを配布しているか。
No.12 計測器管理担当者教育の内容は以下のようになっているか。

  • ①計測器に関する基準の説明。
  • ②計測器の校正,点検,購入,修理,廃却などの方法。
  • ③計測器に関する一般知識。

No.13 教育を以下の時点で実施しているか。

  • ①計測器管理担当者の変更または新任があったとき。
  • ②計測器管理責任者または品質保証部長が必要と認めたとき。

No.14 計測器管理担当者教育の受講者名簿は,品質保証部門が記録し,管理しているか。

標準書名 : 計測器類構成標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 品質保証部門は,毎月の校正期限管理を実施した記録を保有しているか。
No.2 品質保証部門は校正証明書,トレーサビリティ証明書を保管しているか。
No.3 校正周期は計測器別に定められているか。
No.4 校正の年間計画書はあるか。
No.5 計測器ごとに,校正実施者を設定した記録はあるか。
No.6 校正実施者は,計測器校正技術教育,または品質保証部長が認めた教育を修了しているか。
No.7 品質保証部門に,校正マニュアルが管理されているか。
作成者は校正有資格者か。
No.8 校正成績書の校正合否判定は,校正実施者が行っているか。
No.9 校正結果(試験成績書)は計測器管理担当者が確認し,計測器管理責任者が承認しているか。
No.10 計測器には校正済みラベルが貼られているか。
No.11 一時保管,倉庫保管の計測器に使用禁止表示がなされているか。
No.12 社内校正は温度23±5℃,湿度75%以下で実施されているか。
No.13 校正を必要とする計測器の精度調整部はカバーで覆われているか。
No.14 新規購入品には保証有効期限ラベルが貼られているか。

標準書名 : 製品識別管理標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 原料,半完成品,完成品の識別は,標準で定められている通り実施されているか,次の現場で確認する。

  • ①原料倉庫。
  • ②受入検査職場。
  • ③製造部門。
  • ④出荷検査職場。
  • ⑤完成品倉庫。

No.2 製品・部品コード管理標準に定められているコードは最新のものになっているか。
No.3 製品識別管理標準に改訂があった場合,上司が確認して配布先に配布しているか。
No.4 製造部門の工程途上における半完成品は工程票によって識別がなされているか。
No.5 製造部門はロット管理標準KQM115に準じたロット管理を実行しているか。

標準書名 : 製品特別採用処理標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 最終検査,出荷検査で不良と判定された製品は,製造部門において不良現象別に分類され,識別されているか。
No.2 不良現象別に分類され,識別された不良と判定された製品は,品質保証部によって原因の究明と対策案が検討され,記録として残されているか。
No.3 原因の究明と対策案の記録は,品質保証部で5年間,保管されているか。
No.4 原因究明と対策案のなかから特別採用として処理できる可能性のある製品は,一覧表として品質保証部がまとめ,上司の確認を得ているか。
No.5 特別採用を顧客に依頼するに際しての特別採用依頼書は上司が確認し,部長が承認しているか。
No.6 特別採用依頼書の顧客からの回答は上司が確認し,部長が承認しているか。
No.7 特別採用依頼書と特別採用依頼書の顧客からの回答書は品質保証部によって5年間保管されているか。

標準書名 : 市場クレーム処理標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 品質保証部門の担当課長は重要度ランクの判定を行い,実態調査の結果を添付し,通知をしているか。
No.2 品質保証部門担当課長は,重要度ランクにより「クレーム連絡・処理票」の発行の要否を判断し,不要の場合は理由を添付し,受付文書で通知しているか。
No.3 「クレーム連絡・処理票」は,品質保証部門担当課長の承認を得て登録後,「発行文書管理一覧表」の配布先に配布しているか。
No.4 技術部門は,原因究明,対策評価を行い,「クレーム連絡・処理票」に基づき回答欄に記入し,品質保証部門へ回答しているか。
回答希望日より回答が遅延する場合は,回答納期を明記し,品質保証部門へ中間回答をしているか。
No.5 品質保証部門は,対策効果確認を必要に応じて実施し,類似製品に同様の問題がないか検討しているか。
No.6 品質保証部門担当課長は,品質問題の原因調査,対策効果確認の結果,重要度ランクの決定をしているか。
No.7 品質保証部門は,必要に応じ,対策検討会議を招集し,対応処置(市場,製造)を決定しているか。
No.8 品質保証部門は,品質問題の報告書を受付部門経由で,販売現法,OEM先に報告しているか。また関係課長に報告している。報告にあたっては,受付文書または通知文書を用いているか。
No.9 販売現法,当事業部は,対策・処置を実施し,対策効果,弊害の有無を調査しているか。
No.10 品質問題の関係部門は,原因に基づき歯止めを行い,再発防止をしているか。また必要に応じ再発防止会議を行い,品質システム,標準類の見直し改訂を行っているか。
No.11 品質保証部門は,報告書および会議録の原本を5年間,所定のファイルで保管しているか。

標準書名 : 重要品質問題処理標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 品質保証部門は,販売部門が発行する市場品質事故連絡票とサービスレポートの受付をしているか。
No.2 営業部門は,OEM客先発行の品質問題の受付をしているか。
No.3 システムサポート部門は,販売現法発行のシステムレポートの受付をしているか。
No.4 製造部門は,製造部門発行の工程品質異常連絡票の受付をしているか。
No.5 品質問題の各受付部門は,品質問題に関して現品回収,情報収集などを行い,実態を調査しているか。
No.6 品質問題受付部門の担当課長は,品質問題ランクと定義の表に基づき重要度ランクの判断をしているか。
No.7 品質問題受付部門の担当課長は,品質問題を重要度ランクによって判断をし,実態調査結果を添付して,品質保証部門に通知しているか。
No.8 品質保証部門は,重要度ランクによって,品質保証部門長の承認を得て,関係部門に「クレーム連絡・処理票」を登録後,発行しているか。
No.9 品質保証部門は,重要度ランクによって,緊急品質会議を招集し,関係部門と緊急対応策および対応スケジュールを検討しているか。
No.10 品質保証部門は,緊急品質会議の結果を緊急対策報告書にまとめ,事業部長に報告するとともに,品質保証部門長の判断により出荷停止指示を通知しているか。
No.11 品質保証部門は販売部門,またはOEM先,または製造部門に,対策処理の中間報告を各受付部門経由で連絡しているか。
No.12品質保証部門は,緊急品質会議の会議録および緊急対策報告書の内容を基に,緊急対策/再発防止管理台帳に必要事項を記入しているか。また記入時,登録番号は年度ごとに01~の追い番としているか。
No.13 技術部門は「クレーム連絡・処理票」に基づき原因調査,評価を行い,対策処置方法および歯止めを回答欄に記入して,品質保証部門へ返送しているか。
No.14 技術部門は,必要に応じて関係部門に原因調査の協力依頼をしているか。
No.15 品質保証部門は,必要に応じて対策に対する効果確認および類似製品に同等の問題がないか検討しているか。
No.16 品質保証部門担当課長は,品質問題の原因調査,対策効果の確認により,重要度ランクを決定しているか。また,決定した重要度ランクが仮決定と異なる場合に,必要に応じて関係部門へ通知しているか。
No.17 品質保証部門は,必要に応じて対策・処置検討会議を招集し,関係部門と市場対応,製造対応などの対策・処置について検討しているか。
No.18 品質保証部門は,必要に応じて作業者に対応作業の指導・教育を行っているか。
No.19 販売現法と当事業部は,対象製品に対して,対策・処置を実施しているか。
No.20 販売現法と当事業部は,対策・処置に対して確実に効果が現れているか,弊害がないかを調査し,不具合がある場合には関係部門に連絡し,改善しているか。
No.21 出荷停止を実施している場合,品質保証部門は,処置内容を確認し,品質保証部門長の承認を得て,出荷再開の通知を発行しているか。
No.22 品質問題の関係部門は,品質問題の発生原因を整理・標準化し,歯止めをしているか。また品質システムの見直しを行い,類似品質問題の再発防止を図っているか。
No.23 品質保証部門は,品質問題について再発防止会議を招集し,関係部門と再発防止策を検討し,決定をしているか。また必要に応じて品質システムと標準類の見直し,再発防止策の水平展開・徹底をしているか。
No.24 品質保証部門は,「クレーム連絡・処理票」と品質問題の会議録の原本を,処理後5年間,保管しているか。
No.25 品質保証部門は,重大品質事故および重要品質問題の報告書の原本を,処理後5年間,保管しているか。