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ISO9001内部監査の仕方(第14回)

平林良人「ISO9001内部監査の仕方」アーカイブ 第14回

これは1994年に日科技連出版社から出版されたものです。以下は本書の趣旨です。
「第三者である審査登録機関が,6カ月おきに,審査登録した会社(組織)に対して立入調査をするのが代表的なフォローアップの仕組みであり,サーベイランスと呼称されている。審査登録を済ませた会社は,この仕組みによって半ば強制的に,確立した品質システムを見直しさせられる。しかし,外部からの圧力によって品質システムの見直しを実施するというのは,ISO 9000/JIS Z 9900シリーズ規格の本来の考え方ではない。ISO 9001 / JIS Z 9901規格の条項中に次の規定要求事項がある。
『「4.1.3 マネジメント・レビュー(経営者による見直し):執行責任をもつ供給側の経営者は,この規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために,品質システムが引き続き適切,かつ,効果的に運営されることを確実にするのに十分な,あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行うこと。この見直しの記録は,保管すること。』
このことを経営者は肝に銘じて内部監査を自分の代行として行うことを組織内に徹底することが肝要である。」


標準書名 :機械設備管理標準
被監査部門:技術部
チェック項目
No.1 管理をすべき機械設備の一覧表は最新のものに維持され,上司はその確認をしているか。上司の確認印は押してあるか。
No.2 「機械設備点検チェック表」におけるチェックポイントは見直しがなされ,上司の確認印を得ているか。
No.3 「機械設備点検チェック表」に修正,改訂があった場合に,関係職場へ配布し,旧版の廃棄を関係職場に依頼しているか。
No.4  配布先職場の見直し確認は実施しているか。
No.5 「機械設備点検チェック表」の保管は,実施職場で,定められた3年間,保管しているか。
No.6  機械設備の使用説明書の原本(購入時に機械設備メーカーから納入されているもの)は保管されているか。また,実施職場にはそのコピーが保管されているか。
No.7  機械設備使用説明書の保管一覧表は最新のものになっているか。
No.8  機械設備を廃却したときには,所定の手続きにより処理をし,総務部へ連絡をしているか。(会社の資産台帳との整合性はとれているか)
No.9  機械設備の棚卸しは年2回実施されているか。その実施記録は前項1と-致しているか。またその記録は総務部へコピーが配布されているか。
No.10  機械設備の棚卸し実施記録は10年間保管されているか。

標準書名 :計測器類選定標準
被監査部門:技術部
チェック項目
No.1 「計測器新規購入依頼書」は関係職場から発行されているか。その書類には上司の確認印と部長の承認印が押されているか。
No.2 「計測器新規購入依頼書」には,なぜその計測器を選定したかの理由が記載されているか。
No.3 「計測器新規購入依頼書」には測定被対象物の精度とそれを測定する計測器に要求される精度と必要な機能を含めた仕様が記載されているか。
No.4 「計測器新規購入依頼書」に基づいて計測器の選定をするために「計測器購入評価表」を作成し,記載されている全チェック項目を確認しているか。
No.5 「計測器購入評価表」は上司が確認をしているか。
No.6 「計測器新規購入依頼書」と「計測器購入評価表」は技術部において3年間保管しているか。

標準書名 :製品・部品包装標準
被監査部門:技術部
チェック項目
No.1 技術部門は,包装仕様を承認・制定の上,技術通知として発行しているか。
No.2 量産時の包装業務について,技術部門が定めた包装仕様書に従い,製造部門が実施をしているか。
No.3 技術部門は,包装仕様を作成日から5年間,保管しているか。
No.4 量産時の包装業務について,品目ごとに包装部品詳細図,部品図,印刷の内容,包装作業方法を包装仕様書に定め,これを基に管理しているか。
No.5 技術部門は,新製品の包装仕様書制定時に,必要事項を包装仕様書に添付して,流通サービス部門へ連絡しているか。
No.6 技術部門は「包装仕様書チェックリスト」に基づき包装仕様書を定め,包装資材量産品全点を実機組み込みにおいて確認しているか。
No.7 新製品の場合,技術部門主催の量産確認会議で認定後,量産移行しているか。
No.8 梱包仕様改訂の場合は,起案を技術部門が行い,品質保証部門,製造部門,技術部門と合議の後,量産移行しているか。

標準書名 :品質マニュアル
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 品質マニュアルの記述は最新のものになっているか。

  • ① 組織名。
  • ② 標準書名ならびに識別番号。
  • ③ 職制名(責任と権限)。
  • ④ Rev.No.(来歴No.)。
  • ⑤ 配布先。

No.2 品質マニュアルの改訂は上司の確認を得,品質保証部長の承認得ているか。確認印は原本に押されているか。
No.3 月1回の部門長会議において各部長から品質マニュアルの改訂の必要性について意見をもらっているか。
No.4 月1回の部門長会議において各部長から品質マニュアル改訂の必要性が提起された場合に,所定の手続きにしたがって処理をしているか。
No.5 品質マニュアルの改訂がなされたとき,旧版は配布先職場から回収して廃棄しているか。(外部への配布も同様の処置をしているか)

標準書名 :品質システム見直し標準
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 品質システム見直し会議は,議長(事業部長または代行者の品質保証部長)が招集し,各部門長のメンバーの参加により開催しているか。
No.2 定期内部品質監査の結果をもとに,品質システム見直し会議を行っているか。
No.3 上記会議の場合,すべての基準についてシステム上の問題はないか,運用できない部分はないかの観点で見直しを行っているか。
No.4 組織変更,市場環境の変化などの理由で品質システム見直し責任者が必要と判断した場合,そのつど品質システム見直し会議を開催しているか。
No.5 日常における品質システムの見直しは,品質問題および重要品質問題の発生時,定例品質会議および再発防止会議で行っているか。
No.6 会議の議事録は事務局(品質保証部門)がまとめ,議長に報告の上,メンバーに配布しているか。
No.7 品質システム見直しの効果確認として,初期不良率,市場故障率,受入れ・工程・出荷の品質状況の推移を管理資料として,品質保証部門が管理しているか。
No.8 品質システム見直し議事録は,品質保証部門担当課長の責任のもとに3年間,保管しているか。

標準書名 :品質記録管理標準
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 品質記録は,次のような場合に活用されているか。

  • ①製品の要求品質の達成と品質の維持・向上に活用する。
  • ②品質システムの見直しと改善に活用する。
  • ③客先に対して品質システムの運用を立証するために活用する。
  • ④第三者に対して品質システムの妥当性を立証するために活用する。

No.2 品質記録の保管部門,保管期間は明確にされているか。
No.3 品質記録の保管にあたっては,その原本が保管されているか。
No.4 品質記録の保管にあたっては,活用のための見やすさ,検索の容易性を考え区分け,表示を行っているか。
No.5 長期間保管する品質記録は,紛失,劣化などを防止できる方法で保管しているか。
No.6 法律で規制されているもの(安全性に関するものなど)は,法律で規定された保管期間としているか。
No.7 上記に該当しない品質記録は,下記のように保管期間を定めているか。

  • オリジナルデータなど               作成後3年
  • 月報,基礎資料,データをまとめたものなど     作成後5年
  • 品質異常に関する資料,信頼性データなど      作成後7年

No.8 上記で,客先との取り決めが社内保管期間より長い場合は,客先との取り決めを優先させているか。
No.9 保管期間の切れた品質記録は,保管責任部門の責任において廃棄しているか。

標準書名 :品質標準書制定標準
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 規格の制定,改廃は,次の事項が発生したときに,その業務を主管する部門,課が行っているか。

  • ① 重要品質問題が発生したとき。
  • ② 関係法令などが変更になったとき。
  • ③ 新製品,新技術の開発があったとき。
  • ④ その他,品質システムの見直しが必要になったとき。

No.2 規格の制定,改廃に関して,その理由,背景を明確にしているか。
No.3 改訂にあたっては,これにより問題が発生しないように他への影響を十分検討しているか。
No.4 規格の改廃は,最初に承認,制定を行った同一の機能をもった部門,課が行っているか。
No.5 規格の承認,制定は,定められた承認者が実施しているか。
No.6 規格の承認,制定に関し,承認者が不在の場合の処置として,あらかじめ職場ごとに代行者が任命されているか。
No.7 規格の改訂を行う場合,改訂履歴表にその内容と理由を記入しているか。
No.8 規格の様式は定められた様式を使用しているか。
No.9 規格の分類,登録は,品質保証部門が分類体系に従って分類し,管理台帳に登録しているか。
No.10 規格の分類項目の追加が必要になった場合,品質保証部門が決定しているか。
No.11 規格は品質保証部門が発行通知書を用いて配布,回収,廃棄を行っているか。
No.12 規格の配布先は配布先一覧に記載された部門長,課長宛になっているか。
No.13 規格の原本は品質保証部門が所定のファイルにて最新版を永久保管しているか。

標準書名 :部品受入検査標準
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 受入検査の結果は,以下の項目を含む検査成績書に記録されているか。

  • ① 検査年月日。
  • ② 機種名。
  • ③ ロット番号または製造シリアル番号。
  • ④ 判定結果。
  • ⑤ 判定者名。
  • ⑥ 検査者名。
  • ⑦ 抜取検査の場合は母ロットの大きさおよび抜取数。
  • ⑧ 並行検査の場合は並行検査である表示。

No.2 受入検査の結果が記載された検査成績書は,検査担当部門が3年間,保管しているか。

標準書名 :工程内検査標準
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 製品別の工程内検査規格に変更があった場合は,上司が確認して発行しているか。
No.2 工程内検査規格の一覧表は最新のものに維持されているか。改訂した場合には上司が確認し,品質保証部長が承認しているか。
No.3 製品別工程内検査規格は品質保証部で原本で管理し,配布先にコピーを渡しているか。
No.4 製品別工程内検査規格に改訂があった場合には,配布先から旧規格を回収し,破棄をしているか。(特に海外,国内の取引先への管理はきちんとなされているか)
No.5 工程内検査の記録は実施職場に3年間保管されているか。
No.6 工程内検査員の教育・訓練は規定通り実施されているか。
No.7 工程内検査で使用される計測器類は「校正済」の計測器であるか。
No.8 工程内検査の実施職場の環境はよいか。

標準書名 :製品出荷検査標準
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 品質保証部門は,品質保証通知により出荷検査規格を発行し,検査内容,検査水準の指示を行っているか。
No.2 検査部門は,出荷検査を出荷検査規格に基づき実施しているか。
No.3 検査員は,定められた教育・訓練を修了しているか
No.4 検査に用いる計測器は「計測器校正標準」に従って校正されたものを使用しているか。
No.5 検査結果の判定は,品質保証部門担当課長または代行者が行っているか。
No.6 最終検査結果から出荷OKの判定を下す製品と判断の考え方を,品質保証部門担当課長または代行者は明確にしているか。
No.7 検査品の管理は,検査品管理責任者が管理しているか。
No.8 出荷検査の結果を,検査成績書に記録し,それを品質保証部門は7年間,保管しているか。

標準書名 :外注品質監査標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 品質保証担当課長は,次の場合に品質監査を計画し,実施しているか。

  • ① 新規外注との取引開始。
  • ② 新規部品ユニット,製品の購入。
  • ③ 重要品質問題発生。
  • ④ 4M変動発生。

No.2 品質監査の要否は,新規購入品検査ランク決定と同期して,品質保証通知により発行配布されているか。
No.3 監査員は,内部品質監査教育を修了している者か。
No.4 品質監査は,所定の「チェックシート」用紙に基づいて実施されているか。
No.5 評価はチェックシートに記載された各項目ごとに○△×で評価されているか。
No.6 評価結果は所定の「QAシステム監査報告書」用紙にまとめ品質保証担当課長が承認しているか。
No.7 QAシステム監査報告書は実施メーカー,関係部門に配布されているか。
No.8 評価の結果,×の項目があった場合,その項目は即日改善がとられているか。
No.9 △×の項目に関してメーカーから改善計画書が提出され,改善の指導,フォローがなされているか。
No.10 工程監査は所定の「工程監査チェックシート」用紙の項目に基づいて実施されているか。
No.11 工程監査は,個別部品ごとに材料受入れから出荷検査までの一連のプロセスにおいて実施されているか。
No.12 工程監査は工程の標準類の記載内容と照らし合わせ,標準通りの作業,管理が行われているか評価しているか。
No.13 工程監査の結果は,所定の「工程監査報告書」用紙にまとめ,品質保証担当課長が承認しているか。
No.14 工程監査報告書は実施メーカー,関係部門に配布されているか。
No.15 評価は,チェックシートに記載された項目ごとに○△×で行われているか。
No.16 △×の項目に関してメーカーから改善計画書が提出され,改善の指導,フォローが行われているか。
No.17 チェックシート,報告書の記録は,品質保証部門が3年間,保管しているか。

標準書名 :検査規格制定標準
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 検査規格は,仕様書,承認図,図面などに基づいて制定されているか。
No.2 検査規格は,新製品,4M変動時の検査を実施するまえに制定されているか。
No.3 検査規格の改廃は,4M変動時および品質状況に応じて行われているか。
No.4 検査規格の改廃は,検査を実施するまえに行われているか。
No.5 検査規格には,検査区分,部品ユニットまたは製品名称,検査水準,品質特性,検査方法,判定基準,計測器または検査治具が記載されているか。
No.6 改廃の際に改訂履歴,改訂理由が記載されているか。
No.7 検査規格は,品質保証部の責任において起案されているか。
No.8 検査規格は,品質保証課長あるいは代行者が承認しているか。
No.9 品質保証部門は,検査規格の原本を5年間,保管しているか。

標準書名 :QC工程表標準
被監査部門:品質保証部
No.1 QC工程表の作成は標準に基づいて実施されている。

  • ① 工程フロー(製品名)。
  • ② 工程名。
  • ③ 管理項目。
  • ④ 管理頻度。
  • ⑤ 検査,確認項目。
  • ⑥ 検査,確認方法。
  • ⑦ 責任者。
  • ⑧ 関係標準書。

No.2 QC工程表は上司が確認して発行しているか。確認印は押されているか。
No.3 QC工程表一覧表は最新のものに維持されているか。
No.4 QC工程表の改訂が実施された場合,実施職場へ配布後,旧版を回収し,廃棄しているか。
No.5 実施職場ではQC工程表の記載通りに仕事を実施しているか。
No.6 QC工程表に記載された記録は実施職場に3年間保管されているか。
No.7 QC工程表の原本は品質保証部において製品生産終了後,5年間保管されているか。

標準書名 :統計的手法活用標準
被監査部門:品質保証部
チェック項目
No.1 統計的手法は次の部門で活用されているか。

  • ① 設計部。
  • ② 品質保証部。
  • ③ 技術部。
  • ④ 製造部。
  • ⑤ QCサークル。

No.2 内部品質監査で発見された不適合の是正処置,予防処置に統計的手法は活用されているか。
No.3 活用した統計的手法の報告書(活動の記録を含む)は各部門から品質保証部に届け出されているか。
No.4 品質保証部は,上記部門から報告された統計的手法の報告書を1年ごとにファイルしているか。
No.5 品質保証部はファイルされた報告書の分析を実施し,他部門に有用な活動事例を選び出し,配布しているか。
No.6 統計的手法の報告書は,品質保証部において3年間保管されているか。