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ISO9001内部監査の仕方(第16回)

平林良人「ISO9001内部監査の仕方」アーカイブ 第16回

これは1994年に日科技連出版社から出版されたものです。以下は本書の趣旨です。
「第三者である審査登録機関が,6カ月おきに,審査登録した会社(組織)に対して立入調査をするのが代表的なフォローアップの仕組みであり,サーベイランスと呼称されている。審査登録を済ませた会社は,この仕組みによって半ば強制的に,確立した品質システムを見直しさせられる。しかし,外部からの圧力によって品質システムの見直しを実施するというのは,ISO 9000/JIS Z 9900シリーズ規格の本来の考え方ではない。ISO 9001 / JIS Z 9901規格の条項中に次の規定要求事項がある。
『「4.1.3 マネジメント・レビュー(経営者による見直し):執行責任をもつ供給側の経営者は,この規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために,品質システムが引き続き適切,かつ,効果的に運営されることを確実にするのに十分な,あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行うこと。この見直しの記録は,保管すること。』
このことを経営者は肝に銘じて内部監査を自分の代行として行うことを組織内に徹底することが肝要である。」


標準書名 : 内部品質監査標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 内部品質監査者の資格は,次のいずれかに該当する者としているか。

  • ①外部の講習会に参加し,資格を取得している者。
  • ②内部品質監査者認定制度により認定されている者。

No.2 品質保証部門は,内部品質監査実施の必要性について検討し,品質システム管理責任者に具申しているか。
No.3 品質保証部門は,品質システムの変更および狙う品質保証レベルの変化などに応じ,「内部品質監査チェックリスト(基本)」を見直しているか。
No.4 被監査部門は,監査者と協力して監査(計画~改善)をスムーズに終了させているか。
No.5 被監査部門は,監査で指摘を受けた事項について改善計画書を作成し,積極的に改善を実施しているか。
No.6 品質保証部門は,品質保証活動における不具合の状況および問題の重要性に基づいて年度初めに年間の内部品質監査を計画しているか。
No.7 監査計画は,内部品質監査年間計画として制定しているか。
No.8 不適合事項のフォローアップ監査および部分監査が必要な場合は,年間計画とは別に,そのつど計画し,実施しているか。
No.9 内部品質監査年間計画は,次の事項を含めて制定,改訂しているか。

  • ①監査対象となる特定の活動および対象部門。
  • ②監査の実施時期。
  • 内部品質監査を実施する理由。

No.10 内部品質監査委員会による内部品質監査実施プログラムは,次の事項を最低限含めて作成しているか。

  • ①監査の目的。
  • ②監査対象(部門・機能)。
  • ③監査内容(文書管理,工程管理など)。
  • ④監査日時。
  • ⑤監査メンバー。

No.11 「内部品質監査実施通知書」の発行は年間計画で定められた監査の場合のみとし,監査実施約1~4週間前に,監査対象部門へ発行しているか。
No.12 内部品質監査委員会は,「内部品質監査チェックリスト(基本)」を基に重点的に確認する項目を拾い上げ,確認するポイントを明確にしたチェックリストを作成しているか(なお,あらかじめ確認するポイントが明確な場合は,内部品質監査チェックリストを作成せずに監査を行う場合がある)。
No.13 内部品質監査委員会は,「内部品質監査不適合報告書」を基に「内部品質監査報告書」を作成し,品質保証部門の確認を得て,監査対象部門責任者へ報告しているか。
No.14 品質保証部門は内部品質監査委員会からの「内部品質監査報告書」をとりまとめの上,品質システム管理責任者へ報告しているか。
No.15 監査対象部門の責任者は,併せて実施した是正処置内容について,その効果を確認し,品質保証部門に対して「内部品質監査改善結果報告書」を提出しているか。
No.16 品質保証部門は,提出された「内部品質監査改善結果報告書」の内容を確認の上,内部品質監査有資格者がフォローアップ監査を実施しているか。
No.17 品質保証部門に対するフォローアップ監査の実施は,その対象業務から独立した人で,客観的に評価できる者としているか。
No.18 品質保証部門はフォローアップ監査結果について,「内部品質監査フォローアップ監査報告書」を作成し,監査対象部門の責任者宛に発行しているか。
No.19 品質保証部門は,内部品質監査記録を監査ごとにセットで,原本を3年間,保管しているか。
No.20 内部品質監査結果については,品質システムの見直しに活用し,総合的な品質システムの改善に結び付けているか。

標準書名 : サービス標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 品質保証部門と流通サービス部門は,製品の発売前に製品の修理ルート,修理単位,修理用ツール,パーツ供給などについて顧客と調整し,整備しているか。
No.2 営業部門担当課長は製品の発売前にOEM先とサービス業務の内容などについて調整し,関係部門と検討,調整,方向付けをしているか。
No.3 営業部門は製品の発売前にOEM先との契約などによりサービス業務の取り決めをしているか。
No.4 品質保証部門担当課長は製品の発売前に,必要に応じて,購買メーカーと顧客のあいだに修理ルートを開設しているか。
No.5 流通サービス部門は,製品の発売前にイニシャルパーツリストを顧客に発行し,顧客の注文に応じてイニシャルパーツを供給しているか。
No.6 流通サービス部門は,製品の発売前にアフターサービスパーツリストを顧客に発行し,顧客の注文に応じてアフターサービスパーツを供給しているか。
No.7 流通サービス部門は,製品の発売前に修理用ツールを制定し,顧客に供給しているか。
No.8 品質保証部門は,顧客の要請により製品の発売前に顧客に対して製品サポート,修理のサービス教育をしているか。
No.9 品質保証部門は,顧客の要請に応じて製品の発売前にサービス活動に必要な技術情報を,テクニカルマニュアルに掲載し,供給しているか。
No.10 品質保証担当課長は,製品の発売前に販売現法のサービス活動に必要な製品のハードウェア情報を,サービスインフォメーションにより発行しているか。
No.11 システムサポート部門担当課長は,製品の発売前に販売現法のサービス活動に必要なソフトウェア,およびユーザーマニュアルに関する情報をシステムインフォメーションにより発行しているか。
No.12 営業面門担当課長は,製品に関する情報を製品の発売前にOEM先の要請に応じてOEM先に供給しているか。
No.13 流通サービス部門は,製品の発売後に顧客の注文に応じてアフターサービスパーツを顧客に供給しているか。
No.14 営業部門,システムサポート部門,品質保証部門は,製品の発売後,顧客からの問合せに対応しているか。
No.15 流通サービス部門は,製品の発売後,販売現法に対し,アフターサービスパーツの変更情報をサービスブリテンにより発行しているか。
No.16 品質保証担当課長は,製品の発売後に,販売現法のサービス活動に必要な製品のハードウェアに関する技術変更情報をサービスインフォメーションにより発行しているか。
No.17 システムサポート部門担当課長は,製品の発売後に販売現法のサービス活動に必要なソフトウェアおよびユーザーマニュアルに関する技術変更情報をシステムインフォメーションにより発行しているか。
No.18 営業部門,システムサポート部門,品質保証部門は,製品の発売後,顧客より市場情報の収集をしているか。
No.19 品質保証部門は,製品の発売後,市場情報に基づき市場品質月報を作成し,関係部門に発行しているか。
No.20 品質保証担当課長は,製品の発売後,関係部門を招集し,市場品質月報に基づき品質会議を開催しているか。
No.21 関係部門は,市場品質月報および品質会議の情報を設計,製造,販売,サービス活動に反映し,再発防止を図るとともに品質システムの見直し,改善のために活用しているか。
No.22 営業部門は,製品生産中止に関する基準の定めに従い,顧客に製造中止を連絡し,顧客の承認を得ているか。

標準書名 : QCサークル活動推進標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 QCサークル活動推進の年間計画は最新のものになっているか。
この年間計画はQCサークル活動推進事務局として上司が確認し,品質保証部 長が承認しているか。
No.2 品質保証部は,QCサークル活動推進事務局として各部門推進責任者を招集して,QCサークル活動推進責任者会議を月1回実施しているか。またその会議録を3年間保管しているか。
No.3 全体のQCサークル発表会は前期1回,後期1回,年間2回実施しているか。
No.4 各部門は全社QCサークル大会への選抜のための部門内QCサークル大会を実施しているか。
No.5 QCサークル活動推進標準におけるQCサークル表彰内容は最新のものに改訂されているか。またこの改訂は上司の確認を得ているか。
No.6 登録されているQCサークル名,QCサークルリーダー,活動テーマQCサークルアドバイザーは最新のものになっているか。
No.7 QCサークル社外大会への応募は計画通りに実施しているか。

標準書名 : 品質計画書標準
被監査部門: 品質保証部
チェック項目
No.1 品質計画書の作成がされたプロジェクト,新製品はあるか。
(品質計画書標準にそってプロジェクト,新製品の選択がなされているか)
No.2 品質計画書には次の項目が記載されているか。

  • ① 達成すべき品質目標(サイクルタイム,コスト,デイペンダビリティ)
  • ② 工程フロー図。
  • ③ 工程ごとの責任部門 責任者。
  • ④ 関連する手順書,指示書。
  • ⑤ 試験,検査の記録。
  • ⑥ 品質目標測定方法。

No.3 品質計画書は上司の確認を得て,品質保証部長が承認しているか。
No.4 プロジェクトの進行にともない,品質計画書の変更および修正を実施しているか。改定の場合は,上司の確認印を得ているか。
No.5 品質計画書を改訂した場合,配布先から旧版の回収を行い,廃棄しているか。
No.6 品質計画書の原本は品質保証部で3年間保管されているか。

標準書名 : 工程品質管理標準
被監査部門: 製造部
チェック項目
No.1 製造部門では工程票を活用しているか。
No.2 製造部門では決められた工程において必要な検査を実施し,その結果を記録に残しているか。(工程票に記入しているか)
No.3 工程で活用している設備類の点検を確認しているか。
No.4 1日の製造上がりの製品は1ロットとして構成しているか。
No.5 製造部門においてはシリアルナンバー一覧表を使用しているか。
No.6 シリアルナンバー一覧表には製造年月日,機種,ライン名,製造会社,日付,シリアルナンバー,台数を記入しているか。
No.7 シリアルナンバー一覧表には記入された台数と同数の工程票が添付されているか。
No.8 工程票の品質記録の欄には資格ある検査員のサイン(または印鑑)があるか。
No.9 製造工程内で部品,ユニットの不良が発生した場合に,シリアルナンバーを書き換えているか。工程票にその記録が残されているか。
No.10 シリアルナンバー一覧表,工程票は品質保証部,製造部別に,保管されているか。
No.11 シリアルナンバー一覧表の原本は3年間保管されているか。
No.12 工程票の原本は1年間保管されているか。

標準書名 : 作業指示書制定標準
被監査部門: 製造部
チェック項目
No.1 製造部は作業指示書の一覧表を最新のものにして維持しているか。
No.2 製造部は作業指示書を制定する場合,次の標準書を参考にしているか。

  • ① 加工図面管理標準 KTM 105
  • ② 機械設備管理標準 KTM 106
  • ③ 製品・部品包装標準 KTM 109
  • ④ 品質記録管理標準 KQM 105
  • ⑤ 品質標準書制定標準 KQM 106
  • ⑥ 工程内検査標準 KQM 108
  • ⑦ 検査規格制定標準 KQM 112
  • ⑧ QC工程表標準 KQM 113
  • ⑨ 品質計画書標準 KQM 126

No.3 作業指示書は上司が確認し,製造課長が承認しているか。
No.4 作業指示書は製造部内の工程の中に保管され,オペレーターが見たいときには直ちに見られるようになっているか。
No.5 作業指示書の原本は製造部内に保管され,製品の製造中止後,1年間保管されているか。

標準書名 : 機械設備日常点検標準
被監査部門: 製造部
チェック項目
No.1 点検の必要のない機械,設備は明確にされているか。
No.2 機械装置,設備,備品安全(衛生)チェックリストは作成されているか。
No.3 標準書は総務部門との合議を得て制定されているか。
No.4 取扱い責任者は点検表を作成しているか。
No.5 標準書,点検表の見直しを実施しているか。
No.6 標準書,点検表は対象設備のわかりやすいところに掲示されているか。
No.7 取扱い責任者は日常点検表を,1回/週,点検しているか。
No.8 取扱い責任者および係長は,特別安全日に点検をしているか。
No.9 職場管理責任者は異常発見時の処理ルートを標準書に記入しているか。
No.10 異常時に適切な処置を行い,異常発生職場はその処置記録を保管しているか。
No.11 製品の品質に影響があると考えられる場合,品質保証部門と協議して処置を決め,その記録を保管しているか。
No.12 点検記録,異常時の処置記録は,機械・設備を管理している職場で保管場所,管理責任者を明確にして,3年間,保管しているか。

標準書名 : 工程異常処理標準
被監査部門: 製造部
チェック項目
No.1 工程で品質異常非品が発生した場合,基準チャートにより処理をしているか。
No.2 工程品質異常品処理に基準チャートを使用しているか。
No.3 製造部門は,工程において品質問題が発生した場合,製造技術部門に連絡しているか。
No.4 製造部門は,工程において品質問題が発生した場合,工程品質異常連絡票/対策書に必要事項をボールペンなどの消えないもので記入し,品質保証責任者は確認印を押し,製造技術部門に発行しているか。
No.5 製造技術部門は,製造部門より発行された工程品質異常連絡票/対策書を受け付けしているか。
No.6 製造技術部門の受付者は,製造部門より発行された原本の受付担当欄に押印し,番号登録をしているか。
No.7 受付者は,登録管理台帳に,登録日,登録番号,機種などを記入しているか。
No.8 受付者は,工程品質異常連絡票/対策書に登録日,登録番号を記入しているか。
No.9 製造技術部門の受付者は,回答指定日,製造部門への指示内容などを記入し,担当上司の受付確認を得て,原本を技術部門または品質保証部門に送付しているか。
No.10 技術部門または品質保証部門は,工程品質異常連絡票/対策書の内容を確認し,対策処理メーカーに原本を送付しているか。
No.11 技術部門または品質保証部門は,対策処理メーカーから提出された工程品質異常連絡票/対策書の内容を確認し,担当課長が確認欄に押印しているか。
No.12 対策処理メーカーは,記入欄に記入の上,品質保証責任者が確認欄に押印し,送付元に提出しているか。
No.13 回答された原本は,製造技術部門の受付者が回答受理日を記入し,担当課長が回答確認欄に押印しているか。
No.14 製造技術部門は,コピーを製造部門,関係部門に配布しているか。
No.15 製造技術部門は,対策結果を確認しているか。
No.16 技術部門,製造技術部門の担当者は,確認結果に基づき標準類の見直しをし,再発防止策を講じているか。
No.17 工程品質異常連絡票/対策書の原本および登録管理台帳は,製造技術部門が,5年間,保管しているか。

標準書名 : 4M変動管理標準
被監査部門: 製造部
チェック項目
No.1 4M変動があったとき,製造部は4M変動申請書を出しているか。申請書には「申請日,申請部門,申請内容,その他必要事項」が,記入されているか。
No.2 技術部門は,担当課長の確認により,申請書を品質保証部門へ提出しているか。
No.3 品質保証部門は,申請書を所定の手順に従い受付けし,申請書へ登録番号の記載,および登録台帳への記入を行っているか。
No.4 品質保証部門は,所定の手順に従い,申請内容の確認,判断を行っているか。
No.5 品質保証部門は,回答書のコピーを品質保証通知により,製造部,技術部,その他関係部門へ配布しているか。