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ISO9001内部監査の仕方(第19回)

平林良人「ISO9001内部監査の仕方」アーカイブ 第19回

これは1994年に日科技連出版社から出版されたものです。以下は本書の趣旨です。
「第三者である審査登録機関が,6カ月おきに,審査登録した会社(組織)に対して立入調査をするのが代表的なフォローアップの仕組みであり,サーベイランスと呼称されている。審査登録を済ませた会社は,この仕組みによって半ば強制的に,確立した品質システムを見直しさせられる。しかし,外部からの圧力によって品質システムの見直しを実施するというのは,ISO 9000/JIS Z 9900シリーズ規格の本来の考え方ではない。ISO 9001 / JIS Z 9901規格の条項中に次の規定要求事項がある。
『「4.1.3 マネジメント・レビュー(経営者による見直し):執行責任をもつ供給側の経営者は,この規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために,品質システムが引き続き適切,かつ,効果的に運営されることを確実にするのに十分な,あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行うこと。この見直しの記録は,保管すること。』
このことを経営者は肝に銘じて内部監査を自分の代行として行うことを組織内に徹底することが肝要である。」


4.11.2 管理手順
(選定・購入)
No.1 測定項目,要求精度,生産能力などを明確にし,効率のよい検査・測定・試験装置を検討,選定する方法が基準に記述されているか。
No.2 検査・測定・試験装置が,基準で定められた通りに選定されているか。
No.3 測定器などの購入,受入検収,廃棄の手順などの方法が基準に記述されているか。
No.4 測定器は基準に従って受入時に確認されており,要求品質が満たされているか。
(校正標準)
No.1 品質に影響を与えるすべての測定装置について,識別番号,保管条件,校正の方法,校正有効期限の表示方法,管理部門などが基準において明確にされているか。
No.2 標準器の整備,識別番号,保管環境条件などが,基準に従って実施されているか。
No.3 標準器の校正は,校正計画により実施されているか。
No.4 標準器の校正結果の記録の保管方法,校正を依頼したメーカーのトレーサビリティ体系の確認などが基準に記述されているか。
NO.5 基準で定められた通りに,標準器の校正結果が保管されているか。
NO.6 世の中に標準となるものがない場合については,自社で行っている標準の根拠,トレーサビリティが明確にされているか。
(校正の実施)
No.1 全測定器について,装置の形式,識別番号,設置場所,校正の対象・非対象,購入年月,移動履歴などを明確にする方法が基準に記述されているか。
No.2 全測定器の識別,台帳による管理などが,基準通りに行われているか。
NO.3 全測定器について,点検頻度,点検方法,校正結果の判定基準,校正手順(別にマニュアルが必要)などが基準に記述されているか。
NO.4 全測定器の点検,校正などが基準で定められた頻度,手順で行われているか。
(識別)
NO.1 全測定器について標識,ラベルなどにより校正の状態(有効期限など)を示す方法などが基準に記述されているか。
NO.2 全測定器は校正の状態を示す標識,ラベルなどで校正状態が識別されているか。
(記録)
NO.1 全測定器の校正,各種点検,日常の確認結果などの記録を保管する方法が基準に記述されているか。
NO.2 校正,各種点検,日常の確認結果が記録として保管されているか。
(校正外れ)
NO.1 校正の結果,判定基準から外れた場合に,前回から今回までの試験の正しさを評価し製品を処置する方法が,基準に記述されているか(特に市場に出荷したもの)。
No.2 校正結果が判定基準から外れた場合に,基準に従って処置され,記録に残されているか。

規格の要件 : 4.11 検査,測定及び装置の管理
チェック項目
(環境)
NO.1 全測定器の校正,検査,測定,試験の実施などのときに確保すべき環境(温度,湿度,防塵など),異常時の処置,確認の方法などが基準に記述されているか。
No.2 全測定器の校正,検査,測定などが,基準通りの環境下で実施されているか。
(取扱い・保管)
NO.1 全測定器の取扱い(マニュアル)・保管・保存方法が基準に記述されているか。
NO.2 基準(マニュアル)に従い,取扱い,保管・保存が実施されているか。
No.3 日常点検において,正常な動作,精度,必要な動作の確認,異常時の処置などの方法が基準に記述されているか。
No.4 日常点検,定期点検が実施されており,その記録が残されているか。
(保護)
No.1 校正担当者以外のものが勝手に校正後の状態を変えられないようにするための保護手段を定めた基準があるか。
No.2 基準通りに保護手段が実施され,校正後の状態が勝手に変えられないようになっているか。

規格の要件 : 4.12 検査・試験状態
チェック項目
(識別)
No.1 全工程の製品,部品,材料について,検査,試験の前後の識別方法が基準に記述されているか。
No.2 全工程の製品,部品,材料について,検査,試験の前後が基準通りに識別されているか。
No.3 全工程の製品,部品,材料の検査,試験結果の合否をマーキング,移動カード,検査記録,置き場所などで識別する方法が基準に記述されているか。
No.4 全工程において,基準に従って合否の識別がなされており,不良品が混入する心配はないか。
(記録)
No.1 全工程の検査・試験結果の記入用紙,処置方法,責任者(代理者),記録の残し方などを定めた基準があるか。
No.2 全工程の検査,試験について責任者の承認,記録など,基準に従って検査結果が処理され,記録が残っているか。

4.13 不適合品の管理
4.13.1 一般
(全体)
No.1 受入~出荷の段階で不適合品についての識別,関係者への報告,評価,分離などの方法が基準に記述されているか。
No.2 不適合品の識別,関係者への報告,分離などが,基準に従って実施されているか。

4.13.2 不適合品の内容確認及び処置
(対応)
No.1 受入~出荷の段階で不適合品の処置について再加工,特別採用,再格付け変更(ランク下げ),廃棄などの処置,処置を決める責任部門,指示の出し方,関係者への報告などを明確に定めた基準があるか。
No.2 基準で定められた通りに,責任部門による処置方法の選定,指示,処置がなされているか。
No.3 受入~出荷の段階で,不適合品の処置後の再検査の指示,内容,再検査手順などの方法が基準に記述されているか。
No.4 不適合品については,定められた通りに再検査が行われているか。
(客先への報告)
No.1 不適合品の処置を行う場合に,客先に報告し処置をとる方法,報告する処置の規模の明確化,記録の内容,保管などの方法が基準に記述されているか。
No.2 契約および基準で定められた通りに客先に報告し,処置の記録が残っているか。

規格の要件 : 4.14 是正処置及び予防処置
チェック項目
4.14.1 一般
(市場クレーム)
No.1 市場で発生した不良について,原因調査,対策の検討,対策の承認,実施効果の確認,標準化(製品,品質システム),製品の処置,ユーザーヘの回答方法などが基準に記述されているか。
No.2 市場で発生した不良の原因調査,対策の実施,効果の確認,製品の処置,回答などの一連の是正処置が実施されているか。

4.14.2 是正処置
(工程分析)
No.1 不適合品が発生した場合の原因調査,対策の検討,実施,効果の確認,標準化,物の処置などの是正処置の方法が基準に記述されているか。
No.2 不適合品が発生した場合の原因調査,対策の実施,効果の確認などの一連の是正処置が実施されているか。
(効果の確認)
No.1 とられた是正処置の結果について,受入~工程~市場の段階で,不良発生状況の傾向などを確認する方法が基準に記述されているか。
No.2 是正処置の結果が管理され,品質システムの改善,同一不良の低減などの効果を確認できる資料,記録があるか。
(手順の変更)
No.1 是正処置に従い,委員会,会議などによる品質システムの見直し,手順の変更などが基準に記述されているか。
No.2 基準に従い,手順の変更などが行われ,その記録が残っているか。

4.14.3 予防処置
No.1 不適合を検出し除去するために,全工程,作業,特別採用,品質記録,サービス報告書,クレームなどを分析する方法が基準に記述されているか。
No.2 潜在原因,現象が基準通りに拾い上げられ,再発防止活動が実施されているか。

規格の要件 : 4.15 取扱い,保管,包装,保存及び引渡し
チェック項目
4.15.1 一般
No.1 製品の取扱い,保管,包装,保存および引渡しの手順を文書に規定し,実施しているか。

4.15.2 取扱い
No.1 部品・材料~製品~梱包済み品,受入れ~客先に引き渡すまでの取扱いについて,その方法,手段,手順を定めた基準があるか。
No.2 部品~製品~梱包済み品,受入れ~客先に引き渡すまで,基準に従った取扱いがなされているか。

4.15.3 保管
No.1 部品・材料~製品~梱包済み品,受入れ~客先に引き渡すまでの保管について,損傷,劣化を防ぐ条件(温度,湿度など)を明確に定めた基準があるか。
No.2 定められた条件に従い,部品~梱包済み製品の保管が行われているか。
(搬入・搬出)
No.1 部品・材料~製品~梱包済み品の搬入・搬出の責任者,決められた人が搬入・搬出するなどを定めた基準があるか。
No.2 部品・材料~製品~梱包済み品の搬入・搬出が基準に従って実施されているか。
(先入れ・先出し)
No.1 部品・材料~製品~梱包済み品の先入れ・先出しの方法を定めた基準があるか。
No.2 部品・材料~製品~梱包済み品の先入れ・先出しが基準に従って実施されているか。
(劣化防止)
No.1 部品・材料~製品~梱包済み品の保管中の劣化について,適切な期間ごとに評価の指示,評価などを行う方法を定めた基準があるか。
No.2 部品・材料~製品~梱包済み品の保管中の劣化の検出が,基準に従って実施されているか。

規格の要件 : 4.15 取扱い,保管,包装,保存及び引渡し
チェック項目
4.15.4 包装
No.1 部品・材料~製品~梱包済み品の品質を保持するために,包装,梱包,マーキングの方法,指示の仕方などを定めた基準があるか。
No.2 部品・材料~製品~梱包済み品の包装,梱包,マーキングなどが基準通りに行われているか。
No.3 部品・材料~製品~梱包済み品~客先に引き渡すまでの識別,区分けの方法を明確に定めた基準があるか。
No.4 梱包済み品~客先に引き渡すまで,基準通りに識別,区分けが行われているか。

4.15.5 保存
No.1 製品に対する保存,区分けの方法を定めた基準があるか。
No.2 製品に対する保存方法を定めたとおりに実施しているか。
No.3 製品に対する保存方法,区分けは適切な方法になっているか。

4.15.6 引渡し
No.1 輸送中に保護が必要なものの明確化,輸送中の保護方法の指示の出し方,最終検査終了後~引渡しまでの責任,劣化品の検出方法などを定めた基準があるか。
No.2 最終検査後~引渡しまでの責任,保護について,基準通りに実施されているか。

規格の要件 : 4.16 品質記録の管理
チェック項目
(記録管理全般)
No.1 品質記録の種類,書き方,製品との対応付け,識別,収集,見出し付け,管理部門,維持・廃棄などの方法が基準に記述されているか。
No.2 品質記録について,製品との対応付け,保管期間,維持などが基準通りに行われているか。
(記録の保管)
No.1 品質記録の保管について,劣化・紛失を防ぎ,容易に検索できる方法,環境などが基準に記述されているか。
No.2 品質記録の保管が基準通り実施されており,劣化,紛失などがないか。
No.3 品質記録の保管期限,期限の明示方法を定めた基準があるか。
No.4 品質記録が基準通りに保管されているか。

規格の要件 : 4.17 内部品質監査
チェック項目
(定期の監査)
No.1 内部品質監査について,期間,監査員の資格,チーム編成,監査内容(チェックリスト),対象,監査の計画,報告などの方法が基準に記述されているか。
No.2 教育・訓練を受けた監査員で構成されたチームにより,内部品質監査が定期的に実施され,その報告がなされているか。
(非定期の監査)
No.1  非定期に行われる監査について,監査員の資格,チーム編成,監査対象・内容,計画の立て方,報告などの方法が基準に記述されているか。
No.2 問題発生時,システム見直しの後などに監査が行われ,報告が実施されているか。
(監査結果の活用)
No.1 定期・非定期の監査の結果,問題があった場合の改善計画の提出,改善活動,フォローアップ監査,標準化などの是正処置,報告の方法が基準に記述されているか。
No.2 改善すべき事項の責任者は,改善計画を立案し,改善を実施しフォローの監査,標準化などの是正処置の指揮をとり,改善を図っているか。
No.3 監査結果は経営者による品質システムの見直し(マネジメント・レビュー)に活用され,システムが改善されているか。

規格の要件 : 4.18 教育・訓練
チェック項目
(全般)
No.1 全部門・工程,階層別,品質に影響する人ごとに,必要な教育・訓練,資格を明確にした基準があるか。
No.2 教育に必要とされるテキストなどが整備されているか。
No.3 教育プログラムなどが作成され,必要な教育・訓練が実施されているか。
No.4 教育・訓練終了の記録,資格の与え方などが基準に記述されているか。
No.5 教育・訓練,資格の記録がとられているか。
(品質システムの理解)
No.1 各部門,階層で必要な品質システムを理解させる教育を実施しているか。
No.2 各部門,階層で必要な品質システムが理解されているか。

規格の要件 :4.19 付帯サービス
チェック項目
(定義)
No.1 付帯サービスの定義,実践する手順を定めた基準があるか。
No.2 基準に従って付帯サービスが実施されているか。
(実施状況の確認)
No.1 定期的な販売店との情報交換会などにより,サービス状況を確認することが基準の項目に入れられているか。
No.2 サービス状況が確認され,不具合点については,改善が行われ,効果が上がっているか。
(サービスマン教育)
No.1 製品の性能変更時などに,サービス・マニュアルなどでサービスマンに熟知してもらう事項,教育する方法を定めた基準があるか。
No.2 サービスマンに熟知してもらう事項の説明,教育が基準通りに行われているか。
(情報のフィードバック)
No.1 顧客の要望,期待,問題などの情報について,把握の方法,設計審査,是正処置,品質システムなどの見直しなどが基準に記述されているか。
No.2 顧客の情報は,基準通りに品質システムのなかにフィードバックされているか。

規格の要件 :4.20 統計的手法
チェック項目
4.20.1 必要性の明確化
No.1 統計的手法を活用するか否かを,製品特性および品質工程能力を考慮して明確にしてあるかどうか。
4.20.2 手順
(業務への統計的手法の活用)
No.1 統計的手法を活用する目的,統計的手法の種類,工程,必要な情報,形態などを検討する手順が基準に記述されているか。
No.2 基準に基づき統計的手法の活用が計画,実施され,その記録が残っているか。
(処置への活用)
No.1 統計的手法を使用してとられたデータを解析,活用する方法を定めた基準があるか。
No.2 統計的手法を使用してとられたデータを,是正処置などに活用しているか。