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ナラティブ内部監査の実践例2 (その12)

ナラティブ内部監査の実践例2として、「困りごと検出方式」の説明をしています。

最初は、被監査者にとっての困りごとの一般的な例を掲げてみました。つづいて、具体的な事例の方が分かり易いので、その後から、一つひとつ実践に際してのポイントについて話しを進めています。

4.一つひとつ実践に際してのポイント
(9)  改善しろと言われて困っている。
日本の組織において「改善」は、永い間、競争力の源泉でした。1980年ごろには“kaizen”は英語の辞書にも登場する日本を代表する言葉の一つにもなっていました。
私が英国に駐在していた頃(1987年)、英国の書店には KAIZEN という title の本が書棚に並んでいました。

  • ポイント1:問題意識
  • 毎日の仕事の中で時間だけは容赦なく過ぎていく。時間の過ぎるままに仕事をしていても、愚直にルールを守って仕事を行うという基本的な責任は果たすことは出来る。しかし、毎日の仕事に少しでも疑問を抱くと、仕事内容の中に一歩も二歩も踏み込むことが出来る。改善は仕事の内容に疑問を抱くことから始まる。
  • ポイント2: 問題は「ふ」のあるところの存在
  • 不便、不足、不利、不満、不都合、不自由、など「ふ」のつく言葉はすべて改善のタネです。自身の仕事の中で「ふ」のつく言葉を探してみてください。例えば、「不便」はどうでしょうか?「手の届くところに必要なモノが無い」、「コンピュータから欲しいファイルが直ぐに見つからない」などいろいろある。
  • ポイント3:不便なことが見つかったら解決を検討
  • 解決すべき問題は、どのような事柄と関係しているか考える。この時、特性要因図を使うと便利である。特性要因図とは、結果の特性とそれに影響を及ぼすと思われる要因の関係を構造的にまとめたものである。 図の形状から魚の骨と呼ばれているが、結果と要因の関係を整理したものである。もっとも好ましいのは、要因の影響を定量的に把握することであるが、多くの場合定性的に要因を把握する。
  • ポイント4:要因の特定は業務に精通した人の仕事
  • 解決すべき問題(特性)に影響を及ぼす(と思われる)管理項目を要因とする。特性の業務に関わっている従業員3~5名から構成されるチームを作り、問題の現状を把握する。チームのメンバーは、特性の要因を1名10件くらいカード(ポストイット)に記入し、記述したカードを似たもの同士のグループに集約する。グループに集約した要因を特性要因図に記入する。要因を分析して結果に最も効いていると思われるものを原因とする。
  • ポイント5:改善の実施
  • 原因を取り除くことが改善につながるが、原因が除去された状態を維持しないと改善の実現とならない。改善を実現するには、発生原因、見逃し原因、拡大原因ごとに原因を除去することが大切である。また、人の行為は原因ではなく結果であるので、この認識も改善を推進する上で重要である。

(つづく)