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ナラティブ内部監査の実践例2 (その3)

ナラティブ内部監査の実践例2として、「困りごと抽出監査」の説明をしています。
被監査者にとっての困りごとはその時々により変化しますが、ここでは一般的な困りごとを上げてみたいと思います。

2.一般的な困りごと
近年、社会的にいろいろな不祥事がネットで報じられ、毎回同じようなことが起きるのに対して、どうして今までの事の反省が生きないのか不思議でなりません。当事者にとっては新しいことだったのかもしれませんが、一般的なことをまとめてみますと、次のようなことが困りごととして浮上します。

  • (1) 人が足りない。
  • (2) 機械、設備が古い。
  • (3) 納期に間に合わない。
  • (4) 教育に参加する時間がない。
  • (5) 作業指示書が古い。
  • (6) 指示書通りにやっても良品にならない。
  • (7) 外注からの部品に規格外品がある。
  • (8) 目標を与えられても方法が分からない。
  • (9) 改善しろと言われて困っている。
  • (10) 急に予定外の仕事が入る。
  • (11) 交代する人がいなくて休みが取れない。
  • (12) 安全柵設置が遅れている。

3.○○はどう聞くのか

  • 前回「○○について困っていませんか」のお話をしました。「困りごと抽出監査」の目的は、被監査者から「いま、困っていること」を聴くことですので、内部監査員から2に羅列したようなことを直接聞いて誘導することは避けるべきです。しかし、被監査者から「困っていることはありません」というような答えが返ってきた時は少し考えるべきです。「○○について困っていませんか」と聞くことは誘導ではありません。
  • 例えば、「品質について、困っていることはありませんか」、「安全について、困っていることはありませんか」、「職場環境で困っていることはありませんか」などと領域であったり、入り口であったりすることを聞くことはここでは誘導とは考えません。
  • 被監査者は、「自分の仕事がやり易くなること」と「言い付けたと上司から思われること」の2つを比較して、どこまで話してよいのかを逡巡しています。

(つづく)