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ナラティブ内部監査の実践例2 (その6)

ナラティブ内部監査の実践例2として、「困りごと抽出監査」の説明をしています。

今シリーズの最初に被監査者にとっての困りごとの一般例を掲げました。
その後の発信からは、一つひとつの困りごとを取り上げて、実践に際してのポイントについて話しを進めています。

4.一つひとつの実践に際してのポイント
(3) 納期に間に合わない。

  • 組織の規模、製品・サービスによらず、いろいろな場面で上がってくる困りごとです。
    納期は顧客満足の3要素の一つ(Q、D、C)ですので、これを満足させないと顧客離れを起こします。
  • ポイント1:納期を守もれない要因
  • 納期を設定する方法に課題があります。営業がお客様から要請された数量、納期を優先して、製造能力(或いはサービス提供能力)を正しく検討せず、まずは顧客第一、売上確保という視点で受注してしまう点を検討する必要があります。
    当然のことですが、営業は顧客から発注される案件を確保することが仕事ですから、その観点から言えば顧客要請を優先することは組織としては肯定することであって、それを否定したり、非難したりすることはできません。
    しかし、物事には程度ということがあります。営業は現在の製造能力(サービス提供能力)を把握しそれを100とした場合、どのくらいまで製造能力或いはサービス提供能力が対応できるのかを知っている必要があります。
  • ポイント2:製造能力(サービス提供能力)の把握
  • 組織の製造能力あるいはサービス提供能力は、標準を100とした場合、どのくらいまで拡大できるのかを検討しておくことは重要です。営業がこの尺度を持っていると、あまりに無茶な顧客要請には「少し検討させてください」ということになると思います。
    例えば、120%あるいは150%まで可能であると決めておくことです。この際次の例のような事前検討をしておくとことが必ず求められます。
    • 【対応策例】
      • 例えば120%までの拡大の例
        ―残業、休日出勤、他部署の応援
      • 例えば150%までの対応の例
        ―勤務体制変更(2交代)、臨時採用
    • 【実施手順】
      • 拡大が現実化した時の実施手順の設定
      • フィージビリティ・スタディ(手順実施)
  • ポイント3:製造計画
  • 製造計画或いはサービス提供計画に無理があると、納期に間に合わなくなります。計画を作る時には、計画通りに事が進まない場合を想定しておくことが必要です。計画を実現化するときの余裕率(組織により異なる)を考えて、計画を立案します。
  • ポイント4:製造、サービス提供の実施
  • ポイント3と裏腹の話になりますが、製造並びにサービス提供実施の日常管理が重要です。製造、サービス提供の実施の日常管理のポイントは次の通りです。
    • ① 日々の出来高を確認する。
    • ② 遅れが発生した時には一両日中に修正処置をとる、と同時に理由を明確にして再発しないようにする。
    • ③ 働く人の健康状態に気を配る。
    • ④ 働く人の悩み、困りごとを聞き、必要であれば対応する。

(つづく)