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ナラティブ内部監査の実践例2 (その7)

ナラティブ内部監査の実践例2として、「困りごと抽出監査」の説明をしています。

最初は、被監査者にとっての困りごとの一般的な例を掲げてみました。
その後から、一つひとつの実践に際してのポイントについて話しを進めています。

4.一つひとつの実践に際してのポイント
(4) 教育に参加する時間がない。

  • 教育に限ったことではなく、一般に「時間がない」という悩み事はよく聞きます。
    時間はどんな人にも分け隔てなく一日24時間と平等に与えられていますから、時間は有限であって、その有限の時間をどのように使うかはその人に任されています。
    しかし、本来教育は組織として計画的に行うべきものですので、業務計画の中に教育が計画されていればこのような悩みは無いはずですが・・・
  • ポイント1: 本当に時間の活用は任されているのか
  • 今回の悩み事の時間がない、というのは組織で仕事をしている中での話ですから、勿論24時間を自由に使えるという前提での話ではありません。自由に使えるどころか、一日8時間びっしりと業務が詰まっているという状況の中での悩み事です。したがって、8時間の時間の使い方については、職場の中で相談しなければなりません。
    特に本来計画されている教育に参加する時間がないというのは、日常管理をしている上司と時間の活用について相談しなければなりません。
  • ポイント2:年間の業務計画
  • 組織の業務は、年間にわたっての事業計画をもとに各部に担当業務が展開され、部から課に、そして係へと展開されるたびに、業務が具体化され、詳細化されて、実施事項が最終的には個人レベルにまで明確にされていきます。
    通常は、そうした年間計画の中に、個人ごとの教育計画が入っているはずです。
  • ポイント3:年間における教育計画
  • 組織の資源の中で一番重要なものは人です。そして、人には業務に関する力量が求められます。新人は最初から力量を持っているわけではなりません。近年の雇用流動化により、入社時からあるレベルの力量をもっている人もいますし、そのような形での雇用が増加していることは間違いありません。しかし、人は成長していくことで組織に貢献できますし、人自身も成長することでやりがいを増やしていくことができます。どんな人にも、入社時より成長していく権利と義務がありますが、そのためには教育が欠かせません。
  • ポイント4:教育計画
  • 組織の教育には2種類あります。一つは組織で仕事をしていくための一般的な教育です。もう一つは仕事を質、量ともに顧客から評価されるレベルにするための固有技術の教育です。
    前者の教育対象には次のようなものがあります。
    • 組織規程(組織図、就業規則、出退勤管理、品質、安全、環境など)
    • 役割分担
    • 協調性、主導性、チーム活動、創造性、前向きな姿勢、是正力など
  • 後者の教育の対象には次のようなものがあります。
    • OJT(On the Job Training):業務に特化した固有技術教育、技能教育

(つづく)