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持続可能な開発目標(SDGs)その1

持続可能な開発目標(SDGs)

2015年、国連は2030年までに世界をよりよくするための道筋を描く開発目標アジェンダを決定した。この「国連2030アジェンダ」は2000年に決議した2015年までのミレニアム開発目標(MDGs: Millennium Development Goals)に次ぐ、向こう15年間に渡って国連が主要な活動として網羅した総合的活動計画である。その中には、「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」と呼ばれる17の目標がある。また、17の目標は更に具体化され169のターゲットに落とされている。
今年2019年は正式な開始から4年目になるが、世界の人々はまだどのようにSDGsの実現に取り組むのか思案している。SDGsが大掛かりな取り組みであることは明確であるが、どのように取り組むかに関しての手がかりはあるはずである。目標に向かって行動する新しいパートナーシップは、2030アジェンダを真にグローバルな試みにするための出発点となる。
まず最初にA「国連2030アジェンダ」を説明し、そのあとB「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」を説明しよう。Bは更にB-1:17の目標、B-2:169のターゲットに分かれている。最後にCでISOとの関わりについて説明をしたい。

  • A:国連2030アジェンダ
  • B:持続可能な開発目標(SDGs)
    • B-1 17の目標
    • B-2 169のターゲット
  • C:ISOとの関わり
    • C-1 ISOフォーカスと国連事務局長との対談
    • C-2 SDGsとISO規格

A.国連2030アジェンダ

「我々の世界を変革する持続可能な開発のための2030アジェンダ」とは次のようなものである。

Ⅰ.前文

アジェンダの前文では、アジェンダが人間、地球及び繁栄のための行動計画であることを明確にしている。

  • ・より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求ものでもある。
  • ・あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題である。
  • ・すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。
  • ・人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒やし安全にすることを決意している。
  • ・世界を持続的かつ強靱(レジリエント: resilient )な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。
  • ・この共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。

アジェンダには17の持続可能な開発のための目標(SDGs)と、169のターゲットが明記されている。

  • ・これらの目標とターゲットは、ミレニアム開発目標(MDGs: Millennium Development Goals)、すなわち、2000年9月国連ミレニアムサミットで2015年までに達成するとした目標を基にして、ミレニアム開発目標が達成できなかったものを全うすることを目指すものである。
  • ・これらは、すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児の能力強化を達成することを目指す。
  • ・これらの目標及びターゲットは、統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会及び環境の三側面を調和させるものである。
  • ・これらの目標及びターゲットは、向こう15年間にわたり、行動を促進するものになる。
Ⅱ.宣言

アジェンダでは次の宣言を採択している。

  • 1. 国連の70周年を期して、2015年9月25日から27日までニューヨークの国連本部で新たな地球規模の持続可能な開発目標を決定した。
  • 2.(総論、このアジェンダを2030年までに完全に実施するために休みなく取り組むことにコミットする。極端な貧困を含む、あらゆる形態と様相の貧困を撲滅することが最も大きな地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識し、持続可能な開発を、経済、社会及び環境というその三つの側面において、バランスがとれ統合された形で達成することにコミットしている
  • 3.(取り組むべき課題)我々は、2030年までに以下のことを行うことを決意する。
    • ① あらゆる貧困と飢餓に終止符を打つこと。
    • ② 国内的・国際的な不平等と戦うこと。
    • ③ 平和で、公正かつ包摂的な社会をうち立てること。
    • ④ 人権を保護しジェンダー平等と女性・女児の能力強化を進めること。
    • ⑤ 地球と天然資源の永続的な保護を確保すること。
    • ⑥ 持続可能で、包摂的で持続的な経済成長、共有された繁栄のための条件を作り出すことを決意する。
  • 4. (誰一人取り残さない)この偉大な共同の旅に乗り出すにあたり、我々は誰も取り残されないことを誓う。
  • 5. (新アジェンダの特徴)このアジェンダは、各国の現実、能力及び発展段階の違いを考慮に入れ、かつ各国の政策及び優先度を尊重しつつ、すべての国に受け入れられ、すべての国に適用されるものである。
  • 6. (これまでの経緯)この目標とターゲットは、2年以上にわたる公開のコンサルテーションの結果できた。事務総長は2014年12月にコンサルテーション統合報告書を提出している。
Ⅲ.我々のビジョン
  • 1.(目指すべき世界像)これらの目標とターゲットにおいて、目指すべき世界像は、すべての人生が栄え、貧困、飢餓、病気及び欠乏から自由な世界である。
    • ・恐怖と暴力から自由な世界。
    • ・すべての人が読み書きできる世界。
    • ・すべてのレベルにおいて質の高い教育、保健医療及び社会保護に公平かつ普遍的にアクセスできる世界。
    • ・身体的、精神的、社会的福祉が保障される世界。
    • ・安全な飲料水と衛生に関する人権を再確認し、衛生状態が改善している世界。
    • ・十分で、安全で、購入可能、また、栄養のある食料がある世界。
    • ・住居が安全、強靱(レジリエント)かつ持続可能である世界。
    • ・安価な、信頼でき、持続可能なエネルギーに誰もがアクセスできる世界。
  • 2.また、目指すべき世界像は、人権、人の尊厳、法の支配、正義、平等及び差別のないことに対して普遍的な尊重がなされる世界である。
    • ・人種、民族及び文化的多様性に対して尊重がなされる世界。
    • ・人間の潜在力を完全に実現し、繁栄を共有することに資することができる平等な機会が与えられる世界。
    • ・子供たちに投資し、すべての子供が暴力及び搾取から解放される世界。
    • ・すべての女性と女児が完全なジェンダー平等を享受し、その能力強化を阻む法的、社会的、経済的な障害が取り除かれる世界。
    • ・最も脆弱な人々のニーズが満たされる、公正で、衡平で、寛容で、開かれており、社会的に包摂的な世界。
  • 3.さらに、目指すべき世界像は、すべての国が持続的で、包摂的で、持続可能な経済成長と働きがいのある人間らしい仕事を享受できる世界である。
    • ・消費と生産パターン、そして空気、土地、河川、湖、帯水層、海洋といったすべての天然資源の利用が持続可能である世界。
    • ・民主主義、グッド・ガバナンス、法の支配、そしてまたそれらを可能にする国内・国際環境がきわめて重要である世界。
    • ・技術開発とその応用が気候変動に配慮し、生物多様性を尊重する世界。
    • ・人類が自然と調和し、野生動植物その他の種が保護される世界。
Ⅳ.我々の共有する原則と約束
  • 1.新アジェンダの主要原則は、国際法、国連憲章の目的と原則、世界人権宣言、国際人権諸条約、ミレニアム宣言及び2005年サミット成果文書である。
  • 2. (関連する主要国連会議)新アジェンダに関連する主要国連会議は、「環境と開発に関するリオ宣言」、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」、「世界社会開発サミット」、「国際人口・開発会議(ICPD)行動計画」、「北京行動綱領」(第4回世界女性会議)、「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」、「第4回後発開発途上国(LDCs)会議」、「第3回小島嶼開発途上国(SIDS)会議」、「第2回内陸開発途上国(LLDCs)会議」及び「第3回国連防災世界会議」である。
  • 3.(共通だが差異のある責任)「環境と開発に関するリオ宣言」の第7原則「共通だが差異ある責任の原則」を再確認する。
Ⅴ.今日の世界
  • 1.(直面する課題)今日直面する課題は、依然として数十億人の人々が貧困のうちに生活し、尊厳のある生活を送れずにいることである。
    • ・国内的、国際的な不平等。
    • ・機会、富及び権力の不均衡。
    • ・ジェンダー不平等。
    • ・若年層の失業。
    • ・地球規模の健康の脅威。
    • ・より頻繁かつ甚大な自然災害。
    • ・悪化する紛争。
    • ・暴力的過激主義。
    • ・テロリズムと関連する人道危機及び人々の強制的な移動。
    • ・天然資源の減少<。/li>
    • ・砂漠化、干ばつ、土壌悪化、淡水の欠乏及び生物多様性の喪失を含む環境の悪化。
    • ・世界的な気温の上昇、海面上昇、海洋の酸性化及びその他の気候変動の結果。
  • 2.(チャンス)一方大きな機会の時でもある。既に多くの開発の課題に対応するために重要な進展があった。
    • ・数百万人の人が極度の貧困から脱した。
    • ・教育へのアクセスは少年少女いずれに対しても大きく増加した。
    • ・ICTと地球規模の接続性は人間の進歩を加速化させ、デジタルデバイドを埋め、知識社会を発展させた。
    • ・医学やエネルギーのように多様な幅広い分野において科学技術イノベーションがすすんだ。
  • 3. (残された課題への対応)MDGsで残された課題は、およそ15年前合意された重要な枠組みにはその進展にばらつきがある。アフリカ、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国における課題が遅れている。
    • ・母子保健及び性と生殖に関する健康の目標。
    • ・後発開発途上国などに支援プログラムに沿って更なる支援を約束する。
    • ・最も脆弱な部分に取り組むことを目指す。
  • 4.(MDGsを超える課題への対応)新アジェンダの枠組みは、そのスコープにおいてミレニアム開発目標を遙かに越えるものである。
    • ・貧困撲滅、保健、教育及び食料安全保障と栄養。
    • ・幅広い経済・社会・環境の目的の提示。
    • ・より平和かつ包摂的な社会。
    • ・さらに重要なことは、実施手段の提示である。

次回に続けます。