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内部監査の実践(その12)

本シリーズ「内部監査の実践」では、A社のB事業本部のQMSをISO9001:2015に沿って、具体的にどのように監査するかを、実例を中心に説明したいと思います。
その際、内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選2019.11.1」
https://www.technofer.co.jp/iso/mr-qa100-01/)、及び
「ISO 19011に準拠した内部監査に関する質問50選」を随時参考にしていきます。
https://www.technofer.co.jp/iso/hirabayashi-room/

品質マニュアルは従業員全員が知っているべき文書ですが、実際は品質マニュアルを使う場面が来ないと読まないのが現実だと思います。内部監査員も監査の時に品質マニュアルを改めて読むという方が多いと思います。
品質マニュアルは内部監査の基本文書となるもので、内部監査員は事前に必ず読んでおくことが必要です。加えて、品質マニュアルに記載されている標準書を事前に読んでおくことが推奨されます。

A社B事業本部の品質マニュアルの続きです。

【品質マネジメントシステム構成事項】
11 文書管理
11.1 文書の承認及び発行
(1) 文書の管理:品質マニュアルは品質保証部が管理する。品質マネジメントシステムに関わる他の文書類は発行部門が台帳を作り登録管理する。
(2) 文書の承認:文書の承認は文書ごとに規定された標準に定められた承認者が行う。
(3) 文書の発行:文書の発行にあたって発行部門が配布先管理と改訂管理を行う。
(4) 文書の廃止:廃止または変更された文書は次のいずれかの処置をとる。
 ①発行元が回収する。
 ②受領先で廃棄する。

11.2 文書の変更・改訂
(1) 文書の変更は最初に文書を制定した組織(チーム,課)が行う。
(2) 文書の発行部門は管理台帳に改訂履歴を記録する。
(3) 文書の発行部門は変更内容を通知文書に記述し,変更された文書のページと一緒に配布先に配る。
(4) 文書の変更が度重なりわかりづらくなった場合には,全ページを見直して再発行する。

☆文書管理標準      KAS 101
 品質関連文書管理標準  KQM 110

11.3 品質記録
(1) 技術部は,品質記録の識別のために,製品の機種名称,機種コードー覧表を制定する。
(2) 品質保証部および品質記録保管部門は,次の目的で品質記録を収集する。
 ①必要品質の維持と向上のため。
 ②品質マネジメントシステムが標準通りに運用されている証拠として。
 ③トレーサビリティの確保のため。
 ④品質マネジメントシステムの見直しのため。
(3) 品質記録には,その内容を代表する見出しを付け,ファイリングをし,必要とする場合には即座に取り出せるようにしておく。
(4) 品質記録保管部門は,品質記録を,劣化または損傷,紛失を防ぐに適した場所に保管する。
(5) 品質記録保管部門は,品質記録管理標準(KQM105)に基づいて品質記録を廃棄する。
(6) 品質記録をコンピュータ・ファイル上に保管する場合は,必ずバックアップ用のコピーをとる。
(7) 品質記録は次の期間,保管する。
 ①基本的保管期間は3年とする。
 ②OEM客先との契約がある場合は,その定められた期間。
 ③法規上の定めがある場合は,その定められた期間。

☆品質記録管理標準      KQM 105
 製品・部品コード管理標準  KTM 104

次回もA社品質マニュアルの続きを示します。
(つづく)