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ISO9001内部監査の仕方(第13回)

平林良人「ISO9001内部監査の仕方」アーカイブ 第13回

これは1994年に日科技連出版社から出版されたものです。以下は本書の趣旨です。
「第三者である審査登録機関が,6カ月おきに,審査登録した会社(組織)に対して立入調査をするのが代表的なフォローアップの仕組みであり,サーベイランスと呼称されている。審査登録を済ませた会社は,この仕組みによって半ば強制的に,確立した品質システムを見直しさせられる。しかし,外部からの圧力によって品質システムの見直しを実施するというのは,ISO 9000/JIS Z 9900シリーズ規格の本来の考え方ではない。ISO 9001 / JIS Z 9901規格の条項中に次の規定要求事項がある。
『「4.1.3 マネジメント・レビュー(経営者による見直し):執行責任をもつ供給側の経営者は,この規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために,品質システムが引き続き適切,かつ,効果的に運営されることを確実にするのに十分な,あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行うこと。この見直しの記録は,保管すること。』
このことを経営者は肝に銘じて内部監査を自分の代行として行うことを組織内に徹底することが肝要である。」


標準書名 :設計計画標準
被監査部門:設計部
チェック項目
No.1 設計計画書は作成され,上司の確認を経て制定されているか。
No.2 設計計画書は設計計画の変更にともなって修正され,最新のものとして維持されているか。
No.3 設計計画書の中には次の事項が記載されているか。

  • ① 新製品プロジェクト名。
  • ② 新製品プロジェクト・コード名。
  • ③ スケジュール。
  • ④ 担当者名。
  • ⑤ 上司または責任者名。
  • ⑥ 標準書(規定書,規格書)名。
  • ⑦ 関係する部署名。
  • ⑧ 設計のねらい,ポイント。

No.4 設計計画書には製品企画書の番号が記入されているか。
No.5 設計計画書に小変更が生じた場合,計画書原本に修正が加えられ,その部分に上司の承認印が押されているか。
No.6 設計計画書の小変更で修正された企画書は,設計通知で通知され,配布先の旧版は回収,廃却されているか。
No.7 設計計画書の原本および設計通知の保管責任者は設計部長であり,3年間保管されているか。

標準書名 :試作評価標準
被監査部門:設計部
チェック項目
No.1 試作評価計画書は定められた書式に従って作成されているか。
No.2 試作評価計画書は,商品企画書,商品化推進大日程,設計概仕様書などに基づいて作成されているか。
No.3 試作評価計画書案は設計審査2(DR2)で審議され,その結果が反映されているか。
No.4 試作評価計画書は,評価担当部門課長によって任命された評価リーダーによって作成されているか。
No.5 試作評価企画書は,評価担当部門の上司によって承認されているか。
No.6 試作評価計画書には,評価日程,評価台数,評価項目,評価条件,評価規格,未評価項目が盛り込まれているか。
No.7 試作評価日程は「商品化推進大日程」に基づいているか。
No.8 試作評価台数は,評価日程,評価項目を考慮して決められているか。
No.9 試作評価計画の変更が必要なとき,評価担当部門の上司の判断により処置され,定められた評価計画変更履歴表に記録されているか。
No.10 試作評価計画の変更内容は,定められた評価計画変更履歴表に記録されているか。
No.11 「商品化推進大日程」に影響の及ぶ変更の場合,「設計計画標準」に基づいて処置されているか。
No.12 日程,評価項目などに関し,他部門に影響が及び調整が必要となる変更の場合,関係部門と協議がなされ,その議事録が発行されているか。また,その変更内容は設計審査3(DR3)で報告されているか。
No.13 他部門への影響がないと判断された変更においても,変更内容が明確にされ,DR3で報告,審議されているか。
No.14 試作評価は評価推進責任者をリーダーとして,評価計画書に基づいて行われているか。
No.15 試作評価記録には,評価項目,評価条件,評価規格,評価結果,評価担当者,評価実施日が盛り込まれているか。
No.16 試作評価結果が評価基準を満足しなかった場合,以下のいずれかの処置がとられているか。

  • ①対策後,再評価を実施する。
  • ②評価規格および条件を見直す。定められた方法で計画を変更する
  • ③未評価項目として評価記録に記載し,明確にする。

No.17 試作評価記録は評価担当部門の上司によって承認されているか。
No.18 試作評価結果はDR3で審議されているか。
No.19 「製品安全性チェックリスト」は,検査規格制定標準(KQM112)に従っているか。
No.20 試作評価計画書および評価記録は,評価担当部門で作成後3年間,保管されているか。

標準書名 :設計通知管理標準
被監査部門:設計部
チェック項目
No.1 設計通知には,機種名,文書名,図面名が簡潔に記入されているか。
No.2 設計通知番号欄には,定められた方法によって番号が記入されているか。
No.3 発行日,発行部門名欄は記入されているか。
No.4 記事欄には,通知すべき事項が記入されているか。
No.5 理由欄には,該当区分が表示されているか。また,必要に応じて説明が記入されているか。
No.6 記事欄が次ページに続く場合に,該当区分が表示されているか。
No.7 関連文書がある場合,関連文書欄に文書番号が記入されているか。
No.8 コード欄に商品名が記入されているか。
No.9 旧標準類は,定められた手順で回収されているか。
No.10 回収すべき旧標準類がある場合に,その旨を示す表示と旧標準名およびその文書番号が記入されているか。
No.11 定められた配布先,配布数量に従って設計通知を発行しているか。
No.12 配布先,配布数量は発行部門の課長が決定しているか。
No.13 配布先部門ごとの配布部数(表紙のみの場合は「表」と記入)は記入されているか。
No.14 設計通知の発行時に「設計通知管理台帳」に登録しているか。
No.15 「設計通知管理台帳」に配布先も記入しているか。
No.16 設計通知の登録番号は定められた方法でつけられているか。
No.17 設計通知は発行部門の課長が選任した者によって審査されているか。
No.18 設計通知は発行部門の課長によって承認されているか。
No.19 設計通知は承認後3日以内に発行されているか。
No.20 発行された設計通知に発行印は押されているか。
No.21 配布先では,回収を指示された旧標準類を往復封筒に入れて返却しているか。
No.22 配布先で旧標準類が必要な場合,旧版と朱記し,処置日を受付文書管理台帳に記入しているか。
No.23 回収した旧版は確実に破棄されているか。
No.24 配布および必要な旧版の回収・破棄の記録として,設計通知台帳の該当する配布先欄に押印しているか。
No.25 設計通知管理責任者は明確になっているか。
No.26 設計通知の原本および設計通知台帳は5年間保管されているか。
No.27 設計通知の原本および設計通知台帳は,発行後3年間,発行部門居室内の所定の文書棚に保管されているか。

標準書名 :量産資産標準
被監査部門:技術部
チェック項目
No.1 すべての試作品には,外部から確認できる位置に,試作品の管理番号であるシリアルコードラベル(赤ラベル)を貼っているか。
No.2 技術部門は,試作品が完成した時点で「試作品配布台帳」に機種名,仕様,シリアルナンバー,配布先部門など必要事項を記入しているか。
No.3 試作品配布台帳に記載されているシリアルナンバーと試作品のシリアルナンバー(赤ラベル)を確認し,配布台帳に配布日,配布先部門を記入しているか。
No.4 技術部門は配布の際,配布先部門の受領者から「試作品配布台帳」の受領欄に押印またはサインをもらっているか。
No.5 保管管理責任者は上司または上司が指定した者としているか。
No.6 技術部門は,試作品配布終了後,速やかに配布内容を「試作品配布報告書」にまとめ,「試作品配布報告書」のコピーを各配布先部門へ配布しているか。
No.7 技術部門は部門長の承認を得て,「試作品配布台帳」の原紙を経理部門へ提出しているか。
No.8 各配布先部門の保管管理責任者は,保管管理台帳を作成し,保管・処分などの管理をしているか。
No.9 保管管理責任者は,評価品質保持と機密保持ができるよう管理しているか。
No.10 各保管部門は,試作品配布台帳または試作品配布報告書,または保管管理台帳を3年間,保管しているか。

標準書名 :量産認定標準
被監査部門:技術部
チェック項目
No.1 技術部門は,設計審査3(DR3)以降の懸案事項について,量産認定会議開催前に,検討結果,対策を明確にしているか。
No.2 技術部門は,会議開催日の最低1週間前までに,所定の用紙に担当課長の確認を得て,開催通知を発行しているか。
No.3 量産認定会議終了後,主催者は量産認定チェックリストに従い判定を進行したか。
No.4 量産認定チェックリストの各項目の判定は,○△×の3段階で実施しているか。また総合判定も同様に実施しているか。
No.5 判定結果が○もしくは△の場合,技術担当上司は会議録を確認し,認定者(技術部門長)は認定の可否を判断し,その結果を会議録に明示,承認しているか。
No.6 判定結果が×の場合,主催者は会議録に再会議実施予定日を記入し,技術担当上司が会議録を確認しているか。
No.7 主催者は量産認定会議実施3日以内に,確認,認定された会議録を発行しているか。
No.8 発行された会議録の内容を変更する場合,起案部門が会議を主催するか,文書をもってその理由および処置内容を明確にしているか。
No.9 量産認定会議資料の原本は,技術部門が,会議録発行から5年間,保管しているか。また,5年経過後は,機密文書扱いで廃棄されているか。

標準書名 :製品・部品コード管理標準
被監査部門:技術部
チェック項目
No.1 製品コードの一覧表は最新のものになっているか。
No.2 部品コードの一覧表は最新のものになっているか。
No.3 製品・部品コード一覧表は技術部の上司が確認し,技術部長が承認しているか。
No.4 新しく製品・部品コードを設定するときには,コンピュータの確認プログラムで,既設定のコードと重複しないよう必ずチェックしているか。
No.5 製品・部品コードを削除するときには,サービスパーツ管理主管部である生産技術部との合議がなされているか。技術部長と生産管理部長の合議印が押されているか。
No.6 製品・部品コード一覧表の配布先は,組織変更など名称改訂も含め,最新のものになっているか。
No.7 製品・部品コード一覧表に小変更が生じた場合,製品・部品コード原本に修正が加えられ,その部分に上司の確認印が押されているか。
No.8 製品・部品コード一覧表の小変更で修正された一覧表は,技術通知で通知され,配布先の旧版は回収,廃棄されているか。
No.9 製品・部品コード一覧表の原本および技術通知の保管責任者は技術部長であり,永年保管しているか。

標準書名 :加工図面標準
被監査部門:
チェック項目
No.1 技術部は加工図面を,新製品ごとに,量産の開始される5日前までに指定しているか。
No.2 加工図面は,技術部門担当上司が承認し,技術通知により発行しているか。
No.3 加工図面には,作業工程,作業内容,注意点,仕様部品名称/規格,使用ネジ名称,締付トルク,治工具,消耗品などを記載しているか。
No.4 人体の安全,製品の安全(発火,発煙,異臭)に不具合を起こす可能性のある作業には,その項目に“製品安全”の朱印を押印しているか。
No.5 加工図面には,組立機能検査の内容(検査の方法,規格)が搭載されているか。
No.6 加工図面は,製品部門,検査部門に配布されているか。
No.7 配布時の用紙サイズは,A4を基準としているか。
No.8 技術部門は,以下の事由が発生した場合,加工図面の改廃をしているか。

  • ①派生機種が追加・削除された場合。
  • ②使用部品が工程に追加・削除された場合。
  • ③後工程からのクレームがあり,対策をとった場合。
  • ④要求品質の変更,規格変更があった場合。
  • ⑤使用機械,治工具,条件,計測器の変更があった場合。
  • ⑥作業内容,工程順に変更があった場合。
  • ⑦工程内で品質水準が変化し,管理内容・方法を変更する場合。

No.9 改廃時にRev.のアップをしているか。
No.10 改廃の発行時に,技術通知番号,年月日,担当を記入しているか。
No.11 改廃の発行は,技術担当課長の承認を経て,技術通知によって行っているか。
No.12 加工図面の原本は,技術部門が保管場所,管理責任者を明確にして,製品の生産中止以降3年間,保管しているか。
No.13 技術部門は,加工図面の改廃後,配布先より旧加工図面を回収し,廃却しているか。
No.14 技術部門は,製品が生産中止になった場合,配布先より加工図面をすべて回収し,廃却しているか。
No.15 配布先部門の管理責任者は,加工図面の改訂時に差し替えをして,旧加工図面を配布元に返却しているか。
No.16 配布先の部門は,保管場所,管理責任者を明確にしているか。